WEDGE REPORT

2015年5月6日

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細谷雄一 (ほそや・ゆういち)

慶應義塾大学法学部教授

1996年英国バーミンガム大学大学院国際関係学修士号取得、2000年慶應義塾大学大学院博士課程修了。プリンストン大学客員研究員、パリ政治学院客員教授等を歴任。国家安全保障局顧問。

5月7日にイギリスで総選挙が行われる。財政健全化とともに争点となっているのは「EU離脱」だ。キャメロン首相は、総選挙の結果次第では、17年までにEU加盟継続を問う国民投票を実施することを表明している─。

 5月に行われる総選挙により、イギリスが新たな混沌の震源地になる可能性がある。いまのイギリス保守党は、以前の保守党ではない。1980年代以降、首相であったマーガレット・サッチャーの下で保守党は欧州懐疑派が主流となる政党へと変貌してしまった。いわば、欧州統合に不満を持つ世論の支持を吸収することで、一定の支持層を確保してきたのだ。

UKIP支持の理由

 保守党内では、92年には58%に過ぎなかった欧州懐疑派が、97年には85%となり、2001年には90%にまで伸びている。それまでは、保守党内で親欧州派と欧州懐疑派の間の対立が見られていたのが、現在では保守党は欧州懐疑派の一色に染まりつつあり、EUへの批判派より過激になっている。

EU批判で支持を集めてきたUKIPのナイジェル・ファラージュ党首 (CARL COURT/GETTYIMAGES)

 93年に「EUからのイギリスの脱退のキャンペーンをする新しい政党」(ナイジェル・ファラージュ党首)としてイギリス独立党(UKIP)が誕生したことで、そのような傾向に拍車がかかる。欧州懐疑派の投票者が、保守党ではなく、より派手にEUを批判するUKIPへと支持政党を移していったのだ。欧州統合を嫌うことで保守党に投票してきた欧州懐疑派の有権者が、UKIPへと流れてしまうことを止めなければならなかった。結果として、保守党はEUへの批判的な姿勢を強めていった。

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