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2015年6月29日

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田牧一郎 (たまき・いちろう)

田牧ファームズ代表

1952年福島県郡山市生まれ。田牧ファームズ代表。コメ生産者として郡山市で15年、カリフォルニアで20年、「国際競争力のあるコメつくり」をテーマにコメの生産・販売を行う。2012年からはウルグアイで事業を開始。世界の「おいしいごはん」マーケットに輸出を計画。日本のコメ産業も強くなれるはずと、日本でも試行錯誤中。

 カリフォルニア州の精米会社では、今年の水の供給量削減から、コメの作付面積は、良くて30%、悪いケースで40%の減少との、見通しを示していました。平年対比で40%の面積減少ということは、2015年の予想作付面積が約12万ヘクタール強になるとのことです。

 この面積から予想収量(平年並みの反収の場合)60万トンの白米製品(US1等級の規格)が生産されます。この総生産量の中には、短粒種・長粒種・もち品種などが合計(予測)すると、約5~10万トンの生産があります。その量を差し引いた50~55万トンが中粒種です。日本では毎年ミニマムアクセス(MA)で、40万トン弱をカリフォルニアから輸入しています。つまり、15年はカリフォルニアの全生産量の約70~80%を日本政府がWTOの輸入義務として輸入することになります。

 さらに、主食用としてアメリカなどから10万トン程度の輸入がTPPの交渉の中で、話題になっています。この量をたすと日本向けの量は全部で50万トン近くなり、中粒種生産量のほとんどが日本向けになります。

 カリフォルニアのコメ業界では14年産米の持越し在庫も何十万トンかありますが、供給は非常にタイトになることは間違いありません。カリフォルニアのコメ生産が減少するのであれば、日本へのMA輸出を減らしアメリカ国内に回すということもできません。TPPも決定されればWTOと同じように多国間の約束となります。

タイからの輸入米も増加

 カリフォルニアの気候トレンドは、今後気温が高く雨の少ないパターンに入っているとの報道もあり、安定した水供給は難しいとの見方もあります。カリフォルニアの水の80%が農業用に使われ、その中でも面積当たりで最も多く使っているのがコメつくりです。

 都市でもこのような年は家庭での水の使用を制限しており、今年はすでにロサンゼルスの一部地域では、芝生への水やりは週2回とか家庭での洗車禁止などの制限がでています。このような状況になると、カリフォルニアのコメつくりに対する風あたりは強くなります。

水の節約を訴えるカリフォルニア州カンブリアのポスター(BLOOMBERG/GETTYIMAGES)

 今こそ、カリフォルニアの米のマーケットに、日本産のおいしいコメを輸出する計画を、本格的に実行する時期が来たと思います。タイのジャスミンライスも毎年30万トン以上輸入され、アメリカ国内で消費されています。価格の安いコメではありませんが、一定の消費量があります。これは香り米を好むアジア人の人口が増加しているという影響でもあります。このマーケットに売り込むための品種改良が、カリフォルニアやアメリカ南部の育種試験場で長年行われてきました。しかし、まだ成功していません。そのため、いまだにタイから大量の輸入がされています。

 これを例にとれば、おいしいご飯や寿司になるコメは、アメリカ国内で生産できていないのが現状です。日本産のコメの価格が高いために輸入できず、カリフォルニア産コシヒカリや中粒種が日本食に使われているだけです。これから水不足が引き金となり、カリフォルニア米の価格がさらに上昇することになれば、円安ドル高の今こそ、日本産のコメをアメリカに輸出するチャンスでもあります。

  
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