今月の旅指南

2015年6月26日

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狩野直美 (かのう・なおみ)

東京生まれ。フリーライター。旅行業界誌の記者・編集者を経て、1994年からフリーランスに。主に海外旅行関連誌、ウェブマガジン等に記事を執筆中。

 幕末から明治時代に活躍した噺家、三遊亭圓朝(えんちょう)が得意とした演目の一つが怪談噺だった。「怪談牡丹燈籠(ぼたんどうろう)」や「真景累ヶ淵(しんけいかさねがふち)」などの原作者でもある圓朝が収集した幽霊画を中心に、日本美術史における「うらみ」の系譜をたどるユニークな展覧会が開かれる。

 圓朝は、生前、百物語にちなんで約100幅の幽霊画を所蔵していたといわれ、そのうち50幅が東京・谷中(やなか)にある菩提寺の全生庵(ぜんしょうあん)に伝えられている。これまで部分的に公開されてきた幽霊画コレクションの全貌が明らかになるのは今回が初めてで、伝円山応挙(まるやまおうきょ)、河鍋暁斎(かわなべきょうさい)、伊藤晴雨(せいう)らによる名品が勢ぞろいする。

 歌舞伎の演目として人気の高かった「東海道四谷怪談」などの芝居絵や、物語を描いた錦絵も展示。うらみを抱いて死んだ人間が幽霊となって姿を現す場面を、歌川国芳ら浮世絵師が描いた錦絵の怪談物も見逃せない。

歌川国芳《民谷伊右衛門 市川海老蔵・お岩亡霊 尾上菊五郎》天保7年(1836)大判錦絵 *8/8~9/13(後期)展示

  さらに、嫉妬に狂い、鬼と化した女性の象徴であるの般若(はんにゃ)の面や、『源氏物語』の六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)の生霊を描いた、上村松園(しょうえん)の「焔(ほのお)」など、怨念が放つ「美」をテーマにした作品もある。 「うらめしや~」の一言に象徴される、底知れない情念に人はなぜ惹かれるのか。夏の暑さしのぎに足を運んでみるのも一興だろう。

「うらめしや~、冥途のみやげ」展
*期間中、展示替えあり
<期間>2015年7月22日~9月13日
<会場>東京都台東区・東京藝術大学大学美術館(山手線上野駅下車)
<問>☎03(5777)8600

http://www.geidai.ac.jp/

*情報は2015年5月現在のものです。料金・時間・休館日などの詳細は、お出かけの際、現地にお確かめください

  
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◆「ひととき」2015年7月号より

 

 

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