WEDGE REPORT

2015年6月24日

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大阪都=大阪市廃止でないとできないのはカジノだけ。
「二重行政の弊害」も個別に判断してほしい。
多くの国では、首都と第2都市の差はもっと大きい。

 大阪の現状は肯定できるのか。大阪都反対派の有識者、村上弘氏に大阪市の過去と未来を聞いた。

村上 弘((Hiroshi Murakami)
立命館大学法学部教授
1954年京都市生まれ。京都大学大学院修了、法学博士。ドイツ・コンスタンツ大学などで研究。専門は行政学、政治学、地方自治論。 (写真:井上智幸)

編集部(以下、編):今回の住民投票をどう評価しますか

村上教授(以下、村上):投票結果が僅差になった原因は、税金を投じた住民説明会で橋下徹市長が宣伝に努めたことと、賛成の人の方が熱心に投票に行く傾向があったことだ。

 さらに、投票用紙自体に、「大阪市における特別区の設置についての投票」と書かれ、大阪市を残したまま区を特別区に昇格させると誤解させうるものだった。もし投票用紙が、「大阪市の廃止」を明記する公正中立なものであれば、「反対」票はもっと増えて「賛成」票に差をつけていただろう。

 分かりにくく詐欺的ともいえる投票用紙は、今後の国民・住民投票で、繰り返してはならない事例として記憶するべきだ。

編:都構想そのものへの評価は

村上:都構想が最初出たときは、興味深いとも思った。維新のホームページには、成長戦略と住民サービスと、二重行政の解消の3つが公式目的としてあげられていた。しかし、具体的に詰めていくと、大阪市を廃止して行う大型政策とは何かが見えてこない。関空も作り、梅田北開発も一部完成したのでカードが残っていない。

 JR関空快速の高速化(停車駅の減)、都心高速道路の整備は、市と府の協力でやっていける。だから、大阪都=大阪市廃止でないとできないのは何か検討して行くと、ほぼカジノだけだ。

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