キーパーソンに訊く 若冲ブーム

【特別インタビュー】MIHO MUSEUMで初公開 「象と鯨図屏風」を読み解く


辻 一子(つじ・いちこ)
岡山県生まれ。フリーライター。旅行会社のPR誌の編集者を経て、1998年からフリーランスに。旅の雑誌を中心に活躍。

今月の旅指南

全国各地で行われるお祭りや美術展、舞台、音楽会など、おもに和の心が楽しめる今月の催しを厳選してご案内いたします。(画像:iStock)

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 MIHO MUSEUMの企画展「若冲ワンダーランド」で、伊藤若冲の大作「象と鯨図屏風」が初公開され、話題を呼んでいます。この屏風絵は昨年8月、北陸地方の旧家で発見されたもの。鑑定をされたMIHO MUSEUM館長で東京大学名誉教授の辻惟雄氏に、真筆と判断した理由や絵の見どころなどを伺いました。

象と鯨図屏風(左隻)撮影 山崎兼慈 MIHO MUSEUM所蔵
象と鯨図屏風(右隻)撮影 山崎兼慈 MIHO MUSEUM所蔵

――先生が鑑定をされるに至った経緯をお聞かせください。

辻館長:この屏風は、北陸の旧家に長い間眠っていたものです。明治の終わり頃には家にあったそうです。古美術に関心をもつこの家の夫人が若冲の落款に気づき、昨年の夏、北陸に住むM氏を通じて私の勤めるMIHO MUSEUMに鑑定を求めて来られたのです。

辻館長。背後の作品は 「蟹・牡丹図衝立」
一基の内「蟹図」 個人蔵

――この屏風絵を初めて目にされた時の印象と、真筆だと判断した理由を教えてください。

辻館長:一目見て、本物だとわかりました。筆の使い方や樹木・鯨・波頭などの独特の描写……すべての条件が揃っていました。屏風には「米斗翁(べいとおう)八十二歳画」の落款があり、「若冲居士」の朱肉が押されていました。「米斗翁」とは若冲が晩年名乗っていた号です。もちろん、署名は、弟子が似せて書く場合があるので決め手にはなりませんし、絵画自体も弟子が真似て描く場合があります。でも、若冲の絵は癖があるので似せるのは難しいのです。

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