中国の南シナ海での島作りは
「国際規範への挑戦」


世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察するコラム。

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米戦略国際問題研究所(CSIS)のマイケル・グリーン日本部長らが、同研究所のウェブサイトに、5月29日のカーター米国防長官がシンガポールで南シナ海での中国による岩礁埋め立ての中止などを求めた演説を評価し、全体として支持する論説を掲載しています。

画像:iStock

 すなわち、カーター国防長官は、中国が南シナ海で島作りをし、緊張が高まる中、島の軍事化は国際規範への挑戦であり、米国は航行の自由と上空飛行の自由を擁護し、国際法を守る、と述べた。また、すべての国が台頭する権利を実現しうる地域的な安全保障アーキテクチャーを作ることを呼びかけた。

 カーターは、アジアの台頭は米国にとって良い事であり、アジアがいま世界で最もダイナミックな地域であり、米国も太平洋国家である、と述べた。その上でアジアへのリバランスへの米のコミットメントを強調し、P-8哨戒機など兵器の配備とともに、TPP締結に意欲を示した。同盟強化、規範の遵守も繰り返し述べられた。

 スプラトリー諸島での中国の埋め立てによる島づくりについては、カーターは中国がどの国よりも「より遠く、より早く」やっているとし、埋め立ての中止を求め、紛争の国際仲裁を支持した。また、米国は国際法が許容する航行や飛行を続けると宣言し、人工島での滑走路などは主権の根拠にはならないとし、南シナ海では、米国よりも中国が既成事実を作っており、多くの国が米国の懸念を共有している、と述べた。

 カーターは、ベトナムとの共同ビジョン声明、インドとの防衛枠組み作りを明らかにし、また、東南アジア海洋安保構想を打ち出し、地域の国に海洋能力整備のために4億2500万ドルの支援をすると述べた。南シナ海での拘束力ある行動規範の策定も呼びかけた。

 カーター国防長官はオバマ政権でアジア政策担当者として重きをなすようになっている。太平洋軍司令長官ハリー・ハリスとともに南シナ海での中国の動きに、よりしっかりと対応し、中国に埋め立て地の軍事利用や防空識別圏の設定をしないように説得するために、米国がリスクもとることを主張しているようである。しかし、ホワイトハウスが同じようなリスクを取るか、中国が引き下がるかは不明である、と論じています。

出典:Michael J. Green, Ernest Z. Bower & Mira Rapp Hooper‘Carter Defends the South China Sea at Shangri-La’(CSIS, May 29, 2015)
http://csis.org/publication/carter-defends-south-china-sea-shangri-la

* * *

 カーター国防長官は、オバマ政権内で、南シナ海問題について中国により強い対応をすべきであると主張してきた人です。シャングリラ会議でのカーター演説は、南シナ海問題に力点が置かれています。

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