世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年7月29日

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 今や米海軍は小さくなり過ぎ、アジア太平洋地域に必要な兵力を提供できるようになるには何年もかかる状況にある。この傾向を直すのは容易なことではなく、時間も費用もかかる。しかし実行しなければ、西太平洋でのリスクは高まるだろう。今、努力を開始しなければならない、と述べています。

出 典:J. Randy Forbes & Jim Talent ‘America’s Pivot to Asia : Why Rhetoric Simply Isn’t Enough’ (National Interest, June 25, 2015)
http://nationalinterest.org/feature/americas-pivot-asia-why-rhetoric-simply-isnt-enough-13186

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 ワシントンでは、南シナ海での埋め立てを契機に、中国への警戒感が急速に高まっているようで、本件論評もその一つです。上記論説は、議会両院の軍事委員会の小委員会議長と元議長の連名で書かれたものであるだけに、議論の基調を設定する意味を持ちます。

 中国軍の実力の程度については、やや過大評価している面もあるかもしれません。米議会の諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」の報告書では、中国軍は、、統合運用、兵站能力、対潜作戦、近代兵器と在来型兵器の統合運用、近代兵器の操作人員不足等の問題を抱えていると言われます。

 中国海軍は、北海、東海、南海の3艦隊に分かれています。このうち、北海艦隊は天津・北京入口の防衛専用と見られることから、日本に対して用いることのできる海上兵力は東海艦隊のみです。南海艦隊も、対潜能力で劣るため、潜水艦に対して非常に脆弱です。東アジア・西太平洋地域における米軍のプレゼンスは、例えばウクライナをめぐる米軍のプレゼンスよりは比べ物にならないほど大きいので、中国軍がこの地域で優位に立つ状況にはなっていません。

 9月に習近平国家主席の訪米が予定されているため、米中関係がこのまま政府レベルでも対決基調になっていくのかどうかは、まだわかりません。しかし、中国経済の成長鈍化が進む中、米国が対決姿勢を強めれば、中国は経済不振の中で軍拡競争を米国に強いられて自滅したソ連の二の舞になりかねません。

 中国では、習近平政権が指導権を確保したと見られること、9月に訪米を控えていること、経済不振の中で周辺諸国と対立するのは望ましくないことから、日本、ASEAN諸国等に対して関係を改善しようとする動きが見られます。日本には、米国に逆らってでも中国との関係を進めるよう求める声が出てくるかもしれませんが、そのようなことをすれば、米中関係が好転した時、日本は米中双方から疎外されかねません。日中関係修復は、自己目的ではなく、米国と十分調整しつつ進めていくべきものでしょう。

  
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