世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年8月4日

»著者プロフィール

 7月1日付の豪州ローウィー研究所のウェブ・サイトに、元IMF理事のマイク・キャラハンが、アジア・インフラ投資銀行(AIIB)の業務開始に向けた準備はゆっくりと急ぐべきだという論評を書いています。

画像:iStock

 すなわち、2014年10月の新銀行設立の了解覚書署名以降の進展は印象的である。中国による設立協定の起草もその速度と他国の懸念への対応の両面で印象的であった。豪州を含め幾つかの国には銀行が本当の意味で多国間機関になるのかという懸念があったが、中国はこれを和らげた。これまでのところ、AIIBは中国にとって大きな勝ちである。

 楼継緯財務相は、AIIBは今年末までに業務を開始出来るといっているが、最初の融資に手をつける前にゆっくりと急いで準備を整えること、即ち、完全な手順と手続きを定めることが重要である。国際資本市場へのアクセスを持ち得るよう財務機能を整えること、専門知識を有する国際的な人材を集めること、厳格な調達手続きと環境・社会面を考慮したセーフガードを策定することがそれである。

 もう1つの重要なステップは理事会、事務当局の役割と責任を明確に定めることである。AIIBは総務会、12名の理事会、事務当局の三層の構造から成っているが、賢明にも理事会は常設ではない。しかし、非常設の理事会が有効に機能するためにはその役割が明確に定められなければならない。

 最も重要な最初のステップは、AIIBの事業計画を決めることである。銀行の顧客は誰か、銀行の主たる活動は何か、融資条件をどうするか依然としてAIIBの詳細は定かではない。世銀やADBと違ってAIIBには貧困対策の機能がない。

 AIIBには、発電所、空港、港湾などの大規模なインフラ・プロジェクトに焦点を当て、他の金融機関では出来ないことをして欲しいという期待がある。しかし、大規模プロジェクトには環境・社会面に係る問題が伴う。従って、充分な計画と準備が必要である。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る