世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年5月5日

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 台北タイムズは、4月1日付社説で、馬英九が行政院(内閣)、立法院(議会)と相談もせずにアジア・インフラ投資銀行(AIIB)への参加を表明したことを批判しています。

 すなわち、馬英九は習近平との会談を希望したが果たせず、そのかわり蕭万長・前副総統と習近平の会談を設定できたことを成果として喧伝している。しかし、海南島のボアオ・フォーラムでの会談は45秒しか続かず、蕭がAIIBへの参加意図を表明したのに対し、習が「OK」と言ったに過ぎず、軽くあしらわれた。

 この銀行は習の「一帯一路(陸・海洋のシルクロード構想)」政策の一部である。内需拡大と中国の外交・経済的アジェンダを推進し、米欧日が主導する世銀とアジア開発銀に挑戦するものである。

 AIIBはインフラ開発に焦点を当て、貧困削減を目指す世銀、アジ銀とは違う。AIIBの投資資本は1000億ドルで大きくなく、他の2つの銀行と競争できないかもしれない。しかし中国がその経済力を政治的に生かし、米欧に対抗する道を作ったということははっきりしている。それで、米日などは様子見の姿勢に出ている。

 AIIBの事業は中国の銀行関係者と緊密な関係になろう。問題は、中国の金融システムに欠陥があり、腐敗その他の不正行為が多いことである。こういう国がアジアの融資者の役割をどうして果たせるのか。

 台湾にとり、AIIBは投資の機会を提供しようが、参加問題は複雑である。どんな名称や条件で参加するのか。それに馬英九が参加意図を明らかにした後、省庁協議が始められた。これではサービス協定事案の二の舞になる。

 馬は中国寄りであり、何も学ばない。レームダックの総統がこんな重要決定をしていいのかという問題はさておいても、省庁は包括的で慎重な検討をし、野党とも協議し、一般社会にも考え方を説明した後、決定を下すべきである。

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