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2015年7月31日

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佐々木正明 (ささき・まさあき)

産経新聞リオデジャネイロ支局長

1971年岩手県生まれ。大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)卒業。産経新聞社に入社、神戸総局、横浜総局、大阪本社社会部等を経て2014年10月までモスクワ支局長。著書に『シー・シェパードの正体』(扶桑社新書)、『恐怖の環境テロリスト』(新潮新書)

 例年、日本の南極海調査捕鯨や和歌山県太地町の追い込み漁に対して過激な妨害を行ってきたシー・シェパード(SS)が今夏、北欧の捕鯨国での活動を活発化させている。北大西洋に浮かぶデンマークの自治領フェロー諸島では、伝統の追い込み漁を阻止しようと、SSは数十人の活動家を派遣、さらに、2隻の船舶を近隣の海域に展開して、海と陸から妨害行為を続けている。対して、デンマーク側は、追い込み漁に関する法律を改正し、罰則を強化。警察や海上保安庁だけでなく、海軍の艦船も派遣し、SSの動向を監視している。

 パリに逃亡しているSS創設者、ポール・ワトソン容疑者(国際手配)は頻繁に声明を発表して、捕鯨を行うフェロー諸島の住民たちは「野蛮だ」とアピール、支持者らを煽って、デンマークに圧力を加えている。

デンマーク・フェロー諸島の漁の様子(提供:地元住民)

シー・シェパードVSデンマーク

 7月中旬には、浜で地元警察にSS活動家が取り押さえられる映像がユーチューブで公開され、世界各国に「シー・シェパードVSデンマーク」のニュースが大々的に報じられた。拘束されたときには地元住民から拍手がわき起こった。これまでに7人が拘束されており、今後、法的措置が下される。

◯シーシェパードの活動家が取り押さえられるユーチューブ映像https://www.youtube.com/watch?v=YsGI5zQ3Lr8

 現地では「グリンド」と呼ばれ、1千年以上も前から、追い込み漁が続けられてきた。クジラやイルカの捕獲数や捕獲方法を記した記録は1587年までさかのぼることができるのだという。

 気候条件や地理的条件から農業の発展が難しかったフェローの住民は、海洋に生きる糧を見いだし、命をつないできた。年平均で約800頭のゴンドウクジラが捕獲され、母なる海から貴重なタンパク源を得てきた。

 現在のフェロー諸島の人口は現在5万人。漁の仕方は全ての島民に受け継がれている。

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