WEDGE REPORT

2015年8月14日

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 過激派組織「イスラム国」(IS)の暴力が吹き荒れるシリア情勢を鎮静化させるため、ロシアがこのところ新たな外交攻勢を活発化させ、米国、サウジアラビア、イランをも巻き込んだ水面下の動きが急速に加速している。

敵の高官秘密会談も仲介するロシア

 ロシアのこの動きは先月、長年の懸案だったイランの核合意が達成され、中東の大きな問題の1つが解決されたことで急浮上している。ロシアの外交攻勢の狙いは、ISや反政府勢力の軍事的な圧力に次第に追い詰められつつあるシリアのバッシャール・アサド政権の当面の存続と、シリアの内戦終結の際に発足する新政権にアサド大統領の影響力を残すことにある。

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 ロシアはシリア内戦では、シーア派の盟主イランとともに、軍事援助などでアサド政権を長らく支え続けてきた。しかし、米国や欧州各国、サウジアラビア、トルコなどのスンニ派アラブ諸国はアサド政権の追放が内戦終結と、ポスト・アサドの移行政府発足の前提条件だと主張して対立してきた。

 だが、シリアの情勢は昨年来のISの台頭で激変。ISや他のイスラム過激派の方が、世界や周辺諸国にとってアサド政権よりも緊急の脅威であり、「アサド政権が崩壊して最も得をするのはISだ」(米紙)という認識が強まったためである。特にオバマ政権は昨年末から、シリアのアサド政権の存続も選択肢の1つ、との考えに傾斜していった。

 米アナリストらによると、米国は最近、アサド大統領が移行政府の一翼を担うというロシアの立場に大きく近づき、アサド大統領の退陣については強く要求することはしなくなった。ロシアは今月初めカタールで、シリア問題についての米、サウジアラビアによる3者高官会談を開催したが、ケリー国務長官はこの際、「アサド退陣」という要求を持ち出さなかった、とされる。

 ロシアがとりわけ力を入れているのは、サウジアラビアとの関係だ。サウジのジュベイル外相は11日、モスクワでロシアのラブロフ外相とシリア問題について突っ込んだやり取りをしている。しかもロシアは最近、アサド政権の打倒のために反政府勢力に莫大な軍事援助をしてきたサウジアラビアと、当のアサド政権の情報担当の高官の秘密会合もセットした。

 ベイルートの情報筋などによると、ロシアは米国と、サウジアラビアとの3者会談の内容をシリアのモアレム外相に伝え、外相はシリアの盟友であるイランとの関係もあるオマーン当局者と会談。オマーンを通じてイランとサウジの高官会談を実現させ、サウジのアサド政権に対する姿勢を軟化させようと働きかけたものと見られている。

 米国はウクライナ問題でロシアに制裁を加えるなど対立を先鋭化させてきたが、シリアやイラクのISを速やかに壊滅させることではロシアと協力する姿勢を強め、またシリア問題の解決には、核合意を達成した地域大国イランの力に依存せざるを得ないことも認識しており、ロシアを中心にした舞台裏の外交工作がさらに活発化する公算が強い。

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