社外取締役の役割はトップの任免
社長OBの再就職のススメ

東芝問題は「サラリーマン共同体の弱さの極み」と冨山和彦氏


中西 享 (なかにし・とおる)  経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。1972年共同通信社に入社、経済分野を取材し編集委員などを経て2010年に退職し、現在は経済ジャーナリスト。

WEDGE REPORT

ビジネスの現場で日々発生しているファクトを、時間軸の長い視点で深く掘り下げて、日本の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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巨額な不正会計問題が表面化した東芝問題受けて、日本取締役協会副会長で経営共創基盤(IGPI)CEOの冨山和彦氏が、「東芝問題とコーポレートガバナンス(企業統治)」について会見し、「東芝問題は産業再生機構にいるときに関わった10年前のカネボウ粉飾事件の再現ドラマを見るようだ。サラリーマン共同体の弱さが露呈した極みだ」と述べた。日本企業に求められるコーポレートガバナンスを機能させるために必要とされる社外取締役の究極の役割について「トップの任免が一番大切な仕事で、社外取締役をメンバーに加えた(社長を任命する)指名委員会作ることが必須だ」とズバリ直言した。

「ムラ社会の圧力」

冨山 和彦氏(とやま・かずひこ)
東京大学法学部卒、スタンフォード大学経営学修士(MBA)。ボストンコンサルティンググループ、コーポレイトディレクション代表取締役を経て、2003年に産業再生機構設立時に参加してCOOに就任、経営共創基盤(IGPI)を設立、数多くの企業の経営改革や成長支援に携わる。現在はオムロン、ぴあの社外取締役。経済同友会副代表幹事。政府関連委員を多数務める。55歳。

 日本取締役協会は2001年に上場企業の経営者を中心に、企業の成長の仕組みとしてコーポレートガバナンスの普及・啓蒙活動をするため設立され、現在約330人の経営者が参加している。冨山氏は同協会で独立取締役委員会委員長として社外取締役の導入の旗振り役を務めるなど、ガバナンス向上のために尽力してきた。

 東芝問題の背景について冨山氏は「日本企業は『ムラ社会共同体』の強みと弱みの両方を持っているが、今回のケースは弱みが出た形だ。カネボウの場合は会社が潰れるという厳しい状況だったため、ある程度、情状酌量の余地はあるが、東芝ケースはトップ自らの指示が現場に与えた影響が分からないというのであれば、故意で粉飾決算をしたカネボウよりある意味でたちが悪い」と指摘した。

 日本のサラリーマン組織は「『ムラの空気』による同調圧力の働きやすいところで、トップが指示すると現場にはものすごい同調圧力が掛り、逆らえば飛ばされてしまうので、だれも逆らえない。トップが責任を追及されてよく聞くのが『そのように指示したつもりはない』という発言だが、部下はトップが思った以上に指示された方向で頑張ってしまう。東芝のケースも無理な会計処理はチリも積もればで2千億円くらいになるのではないか」と述べた。

 冨山氏は「日本企業のガバナンスは長い間、ファイナンスを担当してきた金融機関が担ってきたが、企業に資金力がついたことでガバナンスに空白が生じた。これがバブル崩壊時期と重なり、結局、日本企業共同体内の自律に頼るしかなかった。しかし企業が権力構造を制御できる仕組みを持ってなかったため、ガバナンスは改革できなかった」とガバナンスが育たなかった理由を説明した。

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著者

中西 享(なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。1972年共同通信社に入社、経済分野を取材し編集委員などを経て2010年に退職し、現在は経済ジャーナリスト。

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