WEDGE REPORT

2015年10月23日

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村中璃子 (むらなか・りこ)

医師・ジャーナリスト

医師・ジャーナリスト。東京都出身。一橋大学社会学部・大学院卒、社会学修士。その後、北海道大学医学部卒。WHO(世界保健機関)の新興・再興感染症対策チーム等を経て、医療・科学ものを中心に執筆中。京都大学大学院医学研究科非常勤講師も務める。

 日本に似た理由で子宮頸がんワクチンの接種率が低迷している国もある。しかし、オーストラリアではすでに約10年の定期接種の実績があり、男子への定期接種も始まった。日本人だけに副反応の多いワクチンや、オーストラリア人だけに副反応の少ないワクチンなど本当にあるのだろうか。

 私たちは声の大きい人たちの声だけを聞いて騒ぎを広げ、日本だけでなく世界中の女性の「守れる命を守ること」に与える悪影響に対し、これほどまで無自覚であってはならない。

はっきりと見え始めた子宮頸がんワクチンの実力
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 最後に筆者のもとに医師たちから寄せられている数多くのメッセージの一部を紹介したい。

疼痛の治療研究を専門とする医師からのメッセージ
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ある内科医からのメッセージ
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 この記事を出すには大変な勇気が必要だった。筆者が製薬会社の回し者である、国のプロパガンダを広げる御用医師だといった根も葉もない中傷も寄せられている。そういった反応があるのは想定の範囲内だったが、考えてみてほしい。この記事を書くことは筆者にとってリスクになることはあれ、どんな得になるというのだろうか。

 しかし、記事を出した意味はあった。一般の読者からも共感の声が聞かれ、なによりもワクチン接種とは関係なく同じ症状に苦しんだ経験のある女性たちの声や、子供にこのワクチンを打たせ、報道に戸惑う親の声、あるいは子宮頸がんで大事な人を失ったという人の声などを聞くことを通じ、真摯にこの問題を考えている人々が社会にこれほど多くいたことを知ったからだ。

 医療界の片隅にいるひとりとして書いたこの記事が、専門家が考えていることをはっきりと口にし、政策担当者が専門家の科学的意見に基づいて意思決定をするきっかけとなることを願う。そして、症状に苦しむ少女たちが1日も早く正しい方向で救済されることを。

【特集】子宮頸がんワクチン問題

  
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◆Wedge2015年11月号より

 


 

 

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