イノベーションの風を読む

2015年11月6日

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川手恭輔 (かわて・きょうすけ)

コンセプトデザイン・サイエンティスト

1990年代から、大手メーカーでインターネットサービスの企画・開発・運用を手がけ、自ら立案したグローバルなサービスを複数立ち上げた経験を持つ。その1つは、サービスのデザインでグッドデザイン賞を受賞した。コンピューターサイエンス関連の翻訳本も多数ある。

 総務省は、昨年の10月31日に「モバイル創生プラン」を公表した。次の3点を挙げて、モバイルが「我が国創生の切り札の一つ」だとした。

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 ① 現在、スマートフォンなど携帯電話は国民生活に必要不可欠なサービスとなるまでに普及。

 ② 今後、スマートフォンのみならず、ウェアラブル端末、M2M、IoTなど、モバイルは経済社会活動全体に広く浸透。

 ③ そのため、もっと自由に、もっと身近で、もっと速く、もっと便利に、モバイルを利用できる環境整備が重要。

 市場支配的事業者への規制の一部緩和による多様な業種とのコラボレーション、新事業の創出のための環境整備が必要だとし、可能なものからスピード感を持って実行して「国民負担(通信費)軽減」と「モバイルによる我が国創生」とを目指すという。「モバイルによる我が国創生」とは、②に書かれているように、モノのインターネット(IoT)によって、これまでになかった価値を人々に提供する産業を創出することを意味している。

 しかし、これまでのモバイル通信サービスは、携帯電話やスマートフォンを使って、動画や音楽やゲームなどのデータ量が非常に大きいコンテンツを利用したり、人と人とが頻繁にコミュニケーションすることを前提にして、内容(プラン)とその価格が決められてきた。通信するデータ量が小さく、そのスピードも遅くて構わない場合が多いモノのインターネットに、それを適用することには無理がある。

 日本では、このモノのインターネットのためのモバイル通信サービスへの対応が遅れている。このままでは、グローバルなスマホエコノミーで存在感を失ってしまった日本の製造業が、ここでも大きく遅れをとってしまう。

携帯電話料金の値下げに向けた政府の動き

 今年9月の経済財政諮問会議における携帯電話の料金に関する安倍首相の発言を受けて、利用者の負担を減らす方策を話し合うための、大学教授ら有識者による総務省主催の最初の会議が10月19日に、そして「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」という名称になって26日に第2回目が開催された。

 菅義偉官房長官が「大手3社が似たような料金設定をしているのは、国民から見ても問題だ」(産経ニュースhttp://www.sankei.com/politics/news/151019/plt1510190010-n1.html)という記者会見でコメントした。この認識にたち、携帯キャリアのネットワークを借りて格安SIMを提供するMVNO(仮想移動通信事業者)の自由度を拡大するなどして、市場競争を活性化させることが狙いのようだ。

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