世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年11月6日

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 米ヘリテージ財団のチェン上席研究員が、10月1日付の同財団のサイトで、習近平訪米の裏で見過ごされがちであった米中関係に関する事象に着目し、オバマ政権の弱腰姿勢が中国を誤解させている、と述べています。

画像:iStock

 すなわち、習近平の訪米に際し、明らかになった米中関係には、真剣に考えるべきものが幾つかある。

 (事案1)中国は、米国人女性をスパイ容疑で逮捕していたことを明らかにした。しかも、女性が逮捕されてから、その事実が明らかにされるまでに既に6ヶ月が経っていた。この出来事は、米政府が検討しつつも結局発動しなかった、中国のサイバースパイに対する制裁の問題と合わせて考える必要がある。

 (事案2)中国は、国際水域上を飛行していた米軍の偵察機に対し、2機の戦闘機を向かわせ、安全でない飛行を行った。この件も、2012年以来南シナ海の人工島の12カイリ以内に米軍を派遣していないことと比較する必要がある。

 (事案3)中国は、初めて地中海でロシアとの二国間演習を行ったり、アリューシャン列島を超えて航行したりするなど、その軍事活動の規模を拡大している。他方米国は、2014年のRIMPACでスパイ艦を派遣してきた中国を、次回2016年のRIMPACにも招待した。だが中国には、自らの演習に米国のアクセスを認め、その義理を返そうなどという気は一向に見られない。

 (事案4)中国の国防予算は2015年も10%超の上昇を見せている。中国は陸軍30万人の削減を発表したが、それは予算削減には反映されておらず、代わりに海、空、第二砲兵、宇宙軍への割り振りを増やしている。一方米国は、強制削減の下で予算の半減を強いられている。中国軍の演習が拡大しているのに、米軍の艦船は港に係留されたままで、パイロットは飛行時間を減らされている。

 中国は米国の決断力を試しているのか、それとも米国の指導力に対し敬意を払っていないのか、いずれにしてもその結果は同じである。すなわち、中国は、米国が何も反応しないものとして扱うことができるということだ。

 中国の行動と米国の無気力さから、米国への信頼性は潜在的に蝕まれている。

 米国が航行の自由を訴えても、中国と敵対するのを故意に避けているのだとすれば、他の米国のコミットメントはどれだけ信用できるのか。

 米国人が逮捕され、米国が中国のサイバー攻撃の標的になっているのに、首脳会談の実施ばかりを心配している国が、無人島における中国の行動に本気で疑問を呈するつもりがどれだけあるのか。

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