イランがイラク民兵ら数千人動員
シリア内戦で軍事介入を拡大


佐々木伸 (ささき・しん)  星槎大学客員教授

共同通信社客員論説委員。ベイルートやカイロ支局長を経て外信部副部長、ニュースセンター長、編集局長などを歴任。

WEDGE REPORT

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シリアのアサド政権を支援するイランがシリア内戦への軍事介入を急速に拡大し始めている。本国の革命防衛隊に加え、イラクのシーア派民兵ら数千人を新たに動員して前線に配備した。イランはこうした介入を背景に10月30日行われたシリア和平協議にも初めて参加、その存在感をあらためて誇示した。

10月28日、シリアで戦死した革命防衛隊メンバーの棺を運ぶテヘラン市民(Reuter/Aflo)

再びイランの謎の将軍暗躍

 イランの軍事介入の拡大は、空爆などロシアの軍事作戦と歩調を合わせた戦略だ。この戦略の要になっているのがイラン革命防衛隊のエリート部隊「コッズ」の司令官、カセム・ソレイマニ将軍だ。ソレイマニ将軍は7月にモスクワを訪問しており、この際、両国の軍事作戦について入念な打ち合わせを行ったのは確実で、あらためて将軍の暗躍ぶりがクローズアップされている。

 ベイルートの消息筋などによると、将軍は9月以降、革命防衛隊約500人や、米軍のイラク侵攻当時から支援して配下に置いている「キタエブ・ヒズボラ」などイラクのシーア派民兵約2000人をシリアに送った。またイランの隣国アフガニスタンのメディアによると、イランは国内にいるアフガン難民を傭兵に仕立ててシリアに派遣している、という。

 イラクの民兵は内戦の当初、アサド政権支援でシリアに送られていたが、過激派組織「イスラム国」(IS)が昨年6月、シリアからイラクに侵攻したためイラクに戻っていた。しかしアサド政権軍や、イランの指示で約1万人の民兵を送り込んでいるレバノンの武装組織ヒズボラの消耗が激しく、補強が必要になったこともあり、イラク民兵が将軍の命令で再び送り込まれた。

 革命防衛隊やイラク民兵らは、アサド政権軍と反体制派の間で激戦になっている同国最大の都市、北西部のアレッポ周辺に配備されており、ロシア軍の空爆と連動してアレッポ制圧の準備を進めているようだ。前線で指揮をするソレイマニ将軍の姿も目撃され、民兵の指導者の1人は「われわれは将軍の命令で来た」と述べている。

 アレッポ制圧作戦はまだ開始されていないが、これまでの戦闘でイラン側にも死傷者が増え、中でも名の知られた革命防衛隊の幹部が10月に戦死し、イランの最高指導者ハメネイ師がテヘランの遺族の弔問に訪れるなど話題になった。しかし、イランのこうした動員力は地域の大国としての存在感を見せつけることになり、イランを抜きにしてシリアの将来を協議するのは、非現実的なものになっている。

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