定年バックパッカー海外放浪記

2015年12月20日

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高野凌 (たかの りょう)

定年バックパッカー

1953年生まれの62歳。横浜生まれ、神奈川県出身。大学卒業後は商社、メーカー勤務を経て2013年定年退職。2014年春から海外放浪生活を始める。放浪歴は地中海、韓国、インドシナ半島、インドネシア、サンチアゴ巡礼など。サラリーマン時代は主として海外業務に従事。ニューヨーク、テヘラン、北京にて海外駐在を経験。身長170センチ、57キロ。獅子座。A型。現在2人のご子息は独立し、夫人との2人暮らし。孫1人。

地方を巡り普段着の韓国を探る
・期間:2014年8月30日~10月2日
・旅行費用:12万円

儒教大国の礼儀正しい青年たち

 9月10日 コンビニ一家の“おもてなし”朝食で元気よく慶州への山道を登り世界遺産の“仏国寺”と“石窟庵”を見学。観光客で賑わっているが大半は中国の団体旅行客である。ここでも日本人は一人も見かけなかった。

“仏国寺”の世界遺産登録の石碑前で記念撮影する中国人一家

 午後4時頃慶州のゲストハウス到着。韓国の若者二人と相部屋である。一人はソウルから来たサムソン電子の技術者。恋人の両親に結婚の申し込みのために挨拶に来たという。明日挨拶に行くので緊張しているとのこと。もう一人は釜山大学医学部3年。二人とも韓国社会ではエリートであるが気持ちの良い好青年であり話が弾む。

 初対面の挨拶をするときに私が握手を求めると二人とも右手を差し出し右手の肘を左手の掌で支える仕草をする。これはレストランや商店のレジで顧客に店員がお釣りを渡す時の仕草と同じである。また妓生(キーセン)がお客から盃を受ける時も同様である。すなわち尊敬する相手に対して謙譲の気持ちを示す伝統的な仕草である。

 慶州以降の旅程でも多数の青年に出会ったが外国人の年長者という理由からか例外なく極めて礼儀正しい対応を受けた。これは韓国社会で李氏朝鮮の時代から連綿と受け継がれてきた儒教文化の伝統なのであろう。

 少し脱線するが儒教発祥の地である中国でも胡錦濤政権時代から儒教が見直され儒教精神の復興運動が共産党主導で進められている。儒教の根本は為政者(権力者)に忠義を尽くすことであるので共産党にとっては都合の良い教えである。それゆえ熱心に国内向けに儒教精神を喧伝している次第である。他方で共産党は世界各地に孔子学院を建て中国語・中国文化を伝播しようとしている。

 私が北京に駐在していた2012年~13年に北京市内で混んでいる地下鉄に乗ると、しばしば若者から席を譲られた。ところが北京郊外や河北省の田舎で路線バスに乗るとどんなに混んでいてもあまり席を譲られた経験がない。事情通の友人に聞いたら共産党が推進している文明精神運動は都市部の上層部の一部が理解しているだけで、田舎の普通の人々にはほとんど浸透していないため、北京市内の地下鉄と郊外の路線バスでは対応が異なるのが当然とのこと。また私が外国人に見えたか身なりが良いので、特別に席を譲られたのであろうと分析してくれた。中国の普通の人々は決して普通の老人やましてや貧乏な老人に対しては敬老精神を発揮しないとの解説であった。

 こうして考えると韓国は本家中国以上に儒教精神が深く定着している社会と言える。当然日本よりも儒教精神が実践されていることから韓国は世界一の儒教国家と言えるのではないか。

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