WEDGE REPORT

2015年12月13日

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 国府田農場の創設者、国府田敬三郎氏の生涯と、現在の国府田農場の経営者、ロス・コウダ氏の物語を描いたドキュメンタリー映画「ドス・パロスの碧空(そら)-seed: The Life of the Rice King and his Kin」(http://www.seedfilm.life)の試写会が、12月8日にロサンゼルス(トヨタUSA自動車博物館)で開催された。

国府田農場スタッフと映画製作スタッフ

 今回の試写会は、サウスベイ・マネジメント・セミナー(SBMS)の一環で、SBMS名誉会長の井出英雄氏が、同作品の共同プロデューサーとして、日本国内ロケの制作統括に携わったことがきっかけだ。会場には、SBMSのメンバーや、福島県出身の国府田氏を慕う福島県人会などから、アメリカ人などを含む約320名が集結した。

 それでは、この国府田敬三郎氏とは、一体どのような人物だったのだろうか。「敬三郎さんは、ライス・キングの異名を持つ人物だった」。国府田氏に対して親しみを込めてこう話すのは、同作品にも出演し、農業にも詳しく、歴史家でもある佐々島真氏。国府田氏は、大量の稲作に対応できるように、”空から飛行機で種を蒔く”というパイオニア的手法を編み出し、約8000エーカー(約32km)という巨大な農場で、良質な米「国宝ローズ」の大量生産を成功させた。

「ドス・パロスの碧空(そら)-seed: The Life of the Rice King and his Kin」(http://www.seedfilm.life

 「これは種選びや種蒔きから包装や販売まで、すべて自社で品質管理を行うという、血と汗と涙の結晶だ」と佐々島氏は話す。「実は、アメリカの農業は、種は種を扱う会社から購入し、農地や高額な機材はリース製品を使い、乾燥や精米は他人任せという現状がある」。また、資金は銀行から借りて投機的な経営が一般的だ。「しかし、国府田農場では、そのすべてを自身で完結させることで、その品質を保っている」。

 ところが、 第二次世界大戦で、国府田氏を含むカリフォルニアに住む日系人たちは、強制収容された。約3年の収容生活を終えて農場に戻ると、大半の農地は他人の名義に。それでも国府田氏は、わずかに残された農地で、もち米の生産に成功し、土地を買い戻して経済的に復興する。

 「実は、敬三郎さんは日系移民の歴史の中で、伝説的な人物でもある」と、佐々島氏はもうひとつの顔を紹介する。国府田氏はその経済力を資本に、差別を受けていた日系人同胞の地位向上のために、公民権運動に立ち上がった。

岡野氏(左)、佐々島氏(右)

 「裁判に3回負けても諦めず、私財を投げ打って戦い、4回目に勝訴。こうして、敬三郎さんは、外国人土地法などを撤廃し、自らの資金を投資して東京銀行設立の援助を行なうなど、日本人や日系人の待遇改善のために、最後まで尽力し続けた」。現在、私たち日本人が、アメリカで永住権や市民権を得られるようになったのは、「敬三郎さんの尽力によるところが大きかった」と、佐々島氏は尊敬を込める。

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