TPP大筋合意がなされた。この合意によって日本のコメにも大きな変化の兆しが見える。今回は新たなコメ輸入の枠が設けられた。アメリカとオーストラリアに対しての、国別枠合計5.6万トン(開始から3年間)、開始後13年目以降7.84万トンの枠である。今までの輸入は、日本政府が数量を管理し、輸入後の用途についても、政府管理のもとで行われてきた。
今回もコメは国家貿易品目に変わりはなく、新たな枠として輸入されるアメリカとオーストラリアのコメは、実際にどのようなコメがどのように流通するのか。
まず、輸入の対象として考えられるコメの種類であるが、アメリカからは、カリフォルニア産短粒種(主にコシヒカリ)と、カリフォルニア産中粒種になる。
オーストラリアは1万トンにも満たない量があてられたが、干ばつが多い国で、コメの安定的な生産に不安のある産地である。
カリフォルニア産の短粒種や中粒種は、アメリカ国内はもちろんのこと、世界の日本食レストランでご飯や「すし」に使われている実績がある。ここ数年干ばつによる水不足で、生産量が減少したとはいえ、毎年100万トン(白米)前後の生産を行っている。ちなみにこの中の約40万トンは毎年ミニマムアクセス制度(WTOの合意)で、日本に輸入されている。その残留農薬などの安全性の検査も常に合格している、コメ産地である。
これからこの毎年5万トン、4年目以降増加し、13年目から7万トンのコメは、現在のSBS方式(輸入業者と実需家の直接取引)の運用方法の一部を変更して輸入し、国内で流通させるとの、説明である。ただ、実際の運用上の細部は、これから日米の関係役、そしてそれぞれのコメ業界が、自らの商売に有利に働くような仕組みを作らせるべく、動くのだろう。
カリフォルニア米は主食用として日本できちんと流通するのか?
今はっきりしていることは、日本政府は輸入税をかけずに、主食用として輸入を認めると報道されているため、この枠で毎年日本に輸入されるコメは、その数量と用途がTPP合意にあっているかの検証が必要となる。SBS方式の運用変更によって、カリフォルニアの輸出者には、TPP合意での輸入米(国別枠米)としての明示が必要であり、日本国内で主食用として流通し、消費されるという何らかの証明が必要となる。
消費者に主食として確実に届けるためには、産地のカリフォルニアのスーパーで消費者向けに販売しているような2キロ・5キロなどの米袋に詰めて、輸入後すぐに日本のスーパーの店頭に並べて販売するのが、もっともわかりやすい確認の方法となる。スーパーが消費者にどれだけ販売したかはっきりでてくるため、毎年の消費量(スーパーでの販売量)が、確認できる。
業務用での販売は主食として用途が限定されていることから、ご飯として提供するレストランや給食業者へ数量が確認しやすい単位で直接納品できる仕組みが必要となる。今まで厳しく管理されていたはずの政府米や加工米が不正に流通されていた実態もあり、コメ流通段階で不正の起こらない仕組みも必要となる。