今月の旅指南

2016年1月22日

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狩野直美 (かのう・なおみ)

東京生まれ。フリーライター。旅行業界誌の記者・編集者を経て、1994年からフリーランスに。主に海外旅行関連誌、ウェブマガジン等に記事を執筆中。

  奈良県の初瀬山中腹にある長谷寺は、国内有数の観音霊場として知られる真言宗豊山(ぶざん)派の総本山。春の桜、夏のあじさいなど、季節ごとに楽しめる風景から「花の御寺(みてら)」の異名を持ち、冬には雪景色の中の寒牡丹が美しい。

《雨宝童子立像》
室町時代 木造 長谷寺蔵

 その長谷寺の名宝が、大阪のモダンな高層ビル、あべのハルカスにやってくる。

 注目したいのが、寺外では初公開となる本尊両脇侍(わきじ)像だ。左脇侍の「雨宝童子(うほうどうじ)立像」は、室町時代に現在の本尊とともに造立されたもので、今も鮮やかな彩色が残る。右脇侍の「難陀龍王(なんだりゅうおう)立像」は、鎌倉時代の造立で、度重なる火災を免れて伝えられてきた。いずれも重要文化財に指定されている。

 また、長谷寺の草創にまつわる「銅板法華説相図(どうばんほっけせっそうず)」(白鳳時代)や、全34巻の経典が納められていた「丸文蒔絵経箱(まるもんまきえきょうばこ)」(室町時代)などの国宝も公開。長谷寺の貴重な名宝を一度に鑑賞できる。

 展示のもう一つの見どころが、長谷寺とつながりの深い豊山派寺院の名宝や十一面観音像だ。特に、長谷寺の本尊十一面観世音菩薩立像と同様に、右手に錫杖(しゃくじょう)を持ち、盤石の台座に立つ特徴的な姿から「長谷寺式」と呼ばれる十一面観音像の作例は興味深い。観音信仰について知識を深める、よい機会となりそうだ。 

<開催日>長谷寺の名宝と十一面観音の信仰(2016年2月6日~3月27日)
<会場>大阪市阿倍野区・あべのハルカス美術館(関西本線天王寺駅下車)
<問>☎06(4399)9050
http://www.aham.jp/

*情報は2015年12月現在のものです。料金・時間・休館日などの詳細は、お出かけの際、現地にお確かめください

  
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◆「ひととき」2016年2月号より

 

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