世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年1月19日

 ゲーツ元国防長官が、12月3日付ワシントン・ポスト紙掲載の論説にて、次期米大統領に求められる資質は何かについて論じ、次期大統領はイデオロギー型ではなく問題解決型が良い、などの指摘をしています。

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分断された米国 まとめ上げることのできる指導者を

 多くの米国民が共和党、民主党双方の政治指導者達に憤激している。それがトランプやサンダースなどの声になっている。政府は機能不全に陥り、政府予算の承認といった基本的なことまでが出来なくなっている。内外の重要問題(外ではイラン、ロシア、中国、北朝鮮、テロ、中東)に直面する次期大統領に必要な資質は何か。

 次の大統領には、三権分立の下では有志を集め妥協をしていくことによってのみ物事が達成されるという現実を十分理解している人が必要だ。実利の政治が必要だ。妥協は自分の信条の放棄だと考える者は、中学校の米国史を勉強し直すべきだ。基本的な哲学と原則を持ちながら実利に基づく、フランクリン・ルーズベルトやレーガンのような巧みな政治指導者が必要だ。

 次の大統領には、米国民に対し正直に語る人が必要だ。トランプ等の人気はその率直さにあるが、率直さはしばしば現実や責任からの乖離、デマゴーグ、できもしない公約を伴う。次期大統領は米国が直面する諸問題の重大性や複雑さについて正直に国民に語らねばならない。

 次期大統領には決意が必要だ。外交の「レッドライン」を引くに当たっては注意が必要だが、他国の指導者には米国大統領が引いたレッドラインは極めて深刻な、場合によっては致命的な結末を招くことを覚悟させねばならない。大統領の約束やコミットメントは必ず実施されねばならない。国益のためには場合によって世論に抗して行動する勇気も持たねばならない。

 次の大統領は問題解決者であるべきだ。今回は、保守かリベラルかではなく、物事をうまく作動させることを約束する人を選んだらどうか。

 次の大統領には自制も必要だ。立法府、司法府を尊重する、レトリックを自重する、非現実的な約束や成果の誇張はしない、また、自分の提案通りにしない場合の結末を誇張するようなことはしない。海外での冒険は慎むべきであり、武力は最後の手段であるべきだ。異論を唱えるものを抹殺するようなこともすべきではない。

 次の大統領は国をひとつにすることが出来る人でなければならない。今の米国は分断されている。次期大統領は率先して政治に品位を取り戻し、あらゆる機会に米国民は共通の運命で結ばれていることを訴えていかねばならない、と論じています。

出典:Robert M. Gates,‘The kind of president we need’(Washington Post, December 3, 2015)
https://www.washingtonpost.com/opinions/the-kind-of-president-we-need/2015/12/03/a4bd5e68-979e-11e5-94f0-9eeaff906ef3_story.html

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