日本の中小企業がアップルを提訴
裁判ができるのはアメリカだけ?

契約書に定めた裁判地の有効性 島野製作所対アップル社から見る国際裁判管轄


鈴木健文 (すずき・たけふみ)  弁護士

弁護士。敬和綜合法律事務所所属。
東北大学卒業、首都大学東京法科大学院終了後、2009年に弁護士登録。
以後、M&Aアドバイス、知的財産法務、金融法務、渉外法務等に従事。2014年7月から米国南カリフォルニア大学に留学し、翌年5月に修了。2015年9月からミャンマー、ヤンゴン市にて執務中。当地では、日本企業を担当するほか、ミャンマー進出支援、知的財産法務、労働法務、金融法務などを手がけている。
 

サムライ弁護士の一刀両断

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本年2月15日に、東京地方裁判所で、国際裁判管轄に関する興味深い中間判決が下された。しかも、その被告は、iPhoneやiPadなどで有名な米国のアップル社(Apple, Inc.)である。

日本の中小企業と世界企業の戦い

島野製作所とアップルの争いは「ダビデ(左)とゴリアテ(右)」の戦いか?(iStock)

 「国際裁判管轄」と言われて、読者の中には自分には縁がなさそうだと思った方もいるかもしれないが、そうとは限らない。気付かないうちに、国際裁判管轄についての合意を締結していたり、同意していたりすることがある。

 「裁判管轄」とは、ある紛争を、どこの裁判所で解決するか、という問題である。一般には、合意という形で現れることが多い。契約書の終わり近くの条項を注意深く読むと、「本契約に基づき生じた一切の紛争は、XX裁判所を第一審の専属管轄裁判所として解決される」などと規定されていることがある。これが、裁判管轄に関する合意である。

 こうした裁判管轄に関する合意は、契約書に限られているわけではない。オンライン・ショッピングを利用する際などに、「注文は規約に同意したものとみなされます」といった文言が書かれているのを見たことはないだろうか。そうした規約の中に、先のような裁判管轄に関する合意が規定されていることがよくある。購入者は、注文を行うことで、ほとんど意識しないうちに、裁判管轄に関する合意を締結しているのである。

 こうした(国内的)裁判管轄を国際的な問題に発展させたものが、「国際裁判管轄」である。すなわち、「どこの国の」裁判所で紛争を解決するのか、というのが国際裁判管轄の問題である。もし機会があれば、グローバル企業のウェブサイトなどを訪問し、規約を探してみると面白いかもしれない。国際裁判管轄に関する条項を、多くの場合に見つけることができるであろう。

 なお、裁判管轄は、必ずしも1カ所や1カ国にのみ決まるわけではなく、複数の裁判所で裁判を起こすことができる場合がある。この場合には、原則として、裁判を起こす原告が、その複数の裁判所のうちどこで訴えを提起するか選択するのである。

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「サムライ弁護士の一刀両断」

著者

鈴木健文(すずき・たけふみ)

弁護士

弁護士。敬和綜合法律事務所所属。
東北大学卒業、首都大学東京法科大学院終了後、2009年に弁護士登録。
以後、M&Aアドバイス、知的財産法務、金融法務、渉外法務等に従事。2014年7月から米国南カリフォルニア大学に留学し、翌年5月に修了。2015年9月からミャンマー、ヤンゴン市にて執務中。当地では、日本企業を担当するほか、ミャンマー進出支援、知的財産法務、労働法務、金融法務などを手がけている。
 

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