“生きた耳と顎の骨のプリントに成功”
臓器移植不要な近未来到来か


土方細秩子 (ひじかた・さちこ)  ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

WEDGE REPORT

時間軸の長い視点で深く掘り下げて、世界の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

»最新記事一覧へ

現在急速に普及が進む3Dプリンターだが、有用な使途として期待されているのがバイオテクノロジーの分野。生体の一部をバイオプリンターによってプリントアウトする、という試みが現在多くの大学で研究されている。

プリントアウトされた生きた耳と顎の骨(提供:ウェイク・フォレスト大学再生医療研究チーム)

 その中で、米ウェイク・フォレスト大の研究チームが「生きた耳と顎の骨のプリントに成功した」と発表し、脚光を浴びている。

 同大学の手法は、生きた細胞と特殊なジェルを使い、生体のCTもしくはMRIデータを元に器官をプリントアウトする、というもの。もちろんそこへたどり着くまでは様々な試行錯誤があった。

 研究チームを率いるアンソニー・アタラ教授は「プラスチックで型を作り、その中に細胞を埋め込んでいく手法、器官の形に細胞をプリントアウトする方法などを試みた。しかし表面は器官の形になっても、内側の細胞が死滅してしまう、あるいは型なしの方法では細胞が増殖して膨れ上がってしまう、などの失敗を繰り返してきた」という。

 今回の方法はプリントアウトするときは液体だが、すぐに固形となるジェルを用い、成型しながら細胞を注入する、という方法だ。ジェル部分が細胞間に隙間を作り、「血管が育って器官に栄養を行き渡らせるまでの間、培養液から器官に養分を運ぶ役割を果たした」ため、死滅や膨張が起こらず最終的な形へと成長した。

1
nextpage
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
「WEDGE REPORT」

著者

土方細秩子(ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

WEDGE Infinity S
ウェッジからのご案内

Wedge、ひととき、書籍のご案内はこちらからどうぞ。

  • WEDGE
  • ひととき
  • ウェッジの書籍