世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年4月4日

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 EU離脱について、英国の世論は二分され、閣僚にも多数の離脱支持者が出るなど、英国のEU離脱が現実味を帯びてきたが、もしそうなれば、英国のみならず、EUも西側も深刻な打撃を受けるだろう、と2月27日-3月4日号の英エコノミスト誌が警告しています。要旨は以下の通りです。

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EU離脱で英国が被る打撃

 EU離脱は、英国経済に打撃を与え、テロやロシアなどの脅威が高まる中、英国の安全保障も危うくするだろう。

 離脱派は、EUという足枷から解放されれば、英国はEUや世界と貿易を続け、経済的に大躍進するかもしれないと言う。しかし、現実の展開はそうならないだろう。最低限、EUはEUのルール遵守をEU市場へのアクセスの条件にするだろう。また、非加盟のノルウェーやスイスの例からすると、EUは人の自由な往来やEUへの相当な財政的貢献も要求するだろう。

 それに、EUには他の加盟国の離脱を予防すべく、英国の離脱に厳しい条件を課すインセンティブがある。英国がEUを必要とするよりも、EUが英国を必要としているという主張も非現実的だ。英国の輸出の半分はEU向けだが、EUの輸入に占める英国の割合は10%に満たない。しかも英国の貿易赤字の大半はドイツとスペインがらみだが、新たな貿易協定を結ぶには、他の25カ国の同意も必要になる。

 一部のEU懐疑派は、主権が回復するのなら、これらの困難も価値があると言うが、こうして得た主権は錯覚に近い。英国も、主権を一部明け渡す代わりに、NATO、IMF、その他多くの機関への加入を通して影響力を得ている。EUを離脱した英国は、主権を回復するどころか、大きく影響力を失うだろう。

 例外は移民で、EUを離脱すれば英国はEU諸国から来る移民を拒否できる。ただ、その場合、英国は間違いなくEU市場へのアクセスを失うだろう。また、英国のビジネスやサービスはフランス人の銀行員、ブルガリア人の建設業者、イタリア人の医師等に依存しているが、これにも支障が出よう。

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