前向きに読み解く経済の裏側

2016年5月12日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

 急成長を続けて来た中国経済に変調が見られるようです。悪くすると不良債権が積み上がって90年代の日本経済のようになるという人もいます。世界第二の経済大国であり、米国と並んで日本の最大の貿易相手国である中国の経済が万が一失速するような事になったら、日本経済はどうなるのでしょうか?

人で賑わう夜の上海の街並み(iStock)

中国進出企業は大打撃だが……

 日本企業は、中国の安価で豊富な労働力を利用するため、積極的に工場進出を進めて来ました。最近では、現地の旺盛な需要に応えるべく、現地で作って現地で売るための工場の進出も活発化しています。そうした状況下、中国経済が失速することになると、進出している日系企業にとっては大きな打撃です。

 しかし、日本経済に対する打撃としては、心配するほどの事はないでしょう。現地に進出している日系企業は、資本こそ日本資本ですが、中国の企業です。彼等が仮に倒産したとしても、失業するのは中国人です。日本企業は、出資金を失うことになりますが、それが直ちに日本の景気に影響するものではありません。

中国向けの輸出が激減したら……

 日本から中国に向けては、巨額の輸出が行なわれています。中国経済が失速して中国人が物を買わなくなったら、日本の輸出企業が大打撃を受けるでしょう。それが日本の景気を腰折れさせる事が懸念されます。

 しかし、中国経済の失速の度合いにもよりますが、日本経済への影響は、人々が心配しているほどは大きくならない可能性が高そうです。リーマン・ショックの再来といった事にはならないので、過度な懸念は不要です。

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