WEDGE REPORT

2016年4月29日

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 自国製、自国民の検品に対する不信感から、国境を超えたECでも〝爆買い〟している中国人。個人を中心に急拡大してきたことで、メーカーだけでなく物流企業も動き始めた。

©辣椒

10兆円を超える巨大市場

 2015年の新語・流行語大賞に選ばれた「爆買い」。日本への買い物旅行を意味する言葉だが、中国でもう一つの「爆買い」がブームとなっている。それが越境EC(電子商取引)だ。ネットショッピングを通じた海外製品の個人輸入を意味するが、10兆円を超える巨大市場になっている。ブームの影響は個人による輸入代行から企業まで広がってきた。

 「ドラッグストアを車で回ってオムツを買い占めていました。花王のメリーズです」

 そう話すのは20代前半の中国人留学生。15年初頭までドラッグストアなどの小売店を回って、中国人に人気のオムツや化粧品を購入、ブローカーに転売する仕事に従事していたという。

 ドラッグストアの紙オムツのコーナーでメリーズの棚だけ空っぽになっている光景を見たことはないだろうか。その理由は彼らのような越境ECの買い付け代行業者にある。

 「オムツの場合だと1パッケージあたり200~300円をプラスして買い取りしてくれました。友人の車でドラッグストアを回っていましたが、1日に30軒、150パッケージを買ったこともあります。1日あたり3万円以上の収入です。友人と2人で分けても割りのいいアルバイトでした」と話す。

 貿易商社を営む孟建軍さん(仮名)は買い付け業者が小売店を回って買い集めた商品を買い取り、中国へと送っていた。孟さんは「最盛期には集まったメリーズ1万2000パッケージを3つのコンテナに詰め込んで中国に送っていたこともある」と語る。

 メリーズを製造する花王の広報部は、「一時期に比べれば買い占めは減り、増産で空っぽになることもなくなっている」とする。花王の15年12月期連結決算はメリーズの売り上げが好調なことも一因となり、純利益988億円と最高益を更新した。今期も1000億円の大規模な設備投資を計画し、紙オムツの国内生産を増強する方針だ。

 小売店では中国人に人気がある大型のサイズで品薄が続く。ドラッグストア大手「くすりの福太郞」の営業担当者は「中国人の買い付けでメリーズの一部品種に欠品が出ないよう、販売を規制して調整している」と語る。

 日本人の中にも越境EC事業を営む人々がいる。中国でベビー用品のネットショップを経営していた内田信さんは、ブームを受け中国EC企業向けの卸売企業を設立。初年度の14年だけで5億6000万円を売り上げた。

 個人で取り組んでいるのが増山智明さんだ。15年1月からECサイト「淘宝網(タオバオ)」で本格的に個人ショップ運営に取り組んだが、初年度の1年間で2000万円の売り上げをあげた。「チャットで1日に20~30件くらいの問い合わせに対応している。10元まけろという相談から、日本を訪問するのにあわせたSIMカードの販売まで、細かいニーズに応じて顧客を増やしてきた」と語る。

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