世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年5月17日

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 Diplomat誌のティエッツィ編集長が、4月6日付同誌ウェブサイト掲載の論説で、中国の安保理決議実施措置について、制裁には重要な例外規定がある他、制裁が中国の現場で実際に実行されるかどうかわからない、と懐疑的に論評しています。論旨は次の通りです。

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北朝鮮からの輸入に設けられた2つの例外

 4月4日、中国商務部は、北朝鮮による1月6日の核実験と2月7日の「衛星」発射を受けて採択された安保理決議2270の実施措置として、金、チタン、バナジウム、レアアースの北朝鮮からの輸入を全面的に禁止、さらに、石炭、鉄、鉄鉱石について、二つの例外を除いて、北朝鮮からの輸入を禁止した。

 第一の例外は、これらの物資の輸入が、「完全に国民の生活の目的のために」行われるものであると認められ、それからの収入が北朝鮮の核・ミサイル計画その他国連制裁の対象となる活動に向けられることがないのであれば、かかる物資の北朝鮮からの輸入は許されることである。この例外が拡大解釈されることはないのか、そして北朝鮮の軍事活動にどれほど直接的に関係していれば輸出が禁止されるのか、それが制裁の効果を決める。

 第二の例外は、中国が北朝鮮の羅津港を経由する第三国からの石炭は引き続き輸入できることになっていることである。ロイターによれば、モンゴルは羅津経由で中国に輸出する合意をしている。検証が緩ければ制裁逃れは容易に可能となるため、商務部や外交部は、詳細な承認手続きを規定してはいる。

 商務部はロケットと航空機燃料の北朝鮮への輸出を禁止した。しかし、これにも二つの例外がある。「輸送と使用につき効果的なモニタリング」が必要との条件付きながら、「基本的な人道ニーズを満たす」ための航空機燃料の北朝鮮への輸出は許される。また、北朝鮮の国外にある民間航空機への給油は、航空機が専ら北朝鮮への出入飛行のために使用される場合、許される。

 中国の制裁実施は、安保理制裁が有効かどうかの分かれ目になる。フランクによる韓国貿易投資促進公社の貿易データを基にした分析によると、中国は北朝鮮の貿易の9割を占める。北朝鮮の14年の貿易総額は76億ドル、その内対中貿易は70億ドルであった。この70億ドルの内約30億ドルが石炭、鉄鉱石、石油の対中輸出であった。韓国連合通信によれば、16年1月、中国の北朝鮮からの鉱物資源輸入は7690万ドルだった。それを見れば対中貿易に対する規制がいかに大きなインパクトをもつかが分かる。しかし、中国指導部がいかに安保理制裁を忠実に実行しようとしても、それだけでは不十分だ。中国では広範な汚職のためトップの命令を地方レベルで実際に実行することは極めて難しい。

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