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2016年5月16日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。1972年共同通信社に入社、経済分野を取材し編集委員などを経て2010年に退職し、現在は経済ジャーナリスト。

 「パナマ」文書が公開されたことについて、ケイマン諸島等のタックスヘイブン(租税回避地)の実態調査をした経験のある証券取引等監視委員会の佐々木清隆事務局長は「特別の目的でタックスヘイブンに設立したペーパーカンパニー(SPC)を使って(含み損を別会社に移すなど)いわゆる『飛ばし』などの不正行為への監視は強めている」と述べ、証券監視委としてタックスヘイブンを使ったマネーロンダリング(資金洗浄)など不正な金融取引には各国と協力して取り締っていることを明らかにした。

パナマ市のダウンタウン(iStock)

ライブドア事件を担当

ささき・きよたか 東京大学法学部卒。大蔵省(現財務省)入省。1998年、金融監督庁(現金融庁)検査部(局)総括補佐、企画官。2002 年IMF、Senior Financial Expert。05年、証券取引等監視委員会特別調査課長。07年、証券取引等監視 委員会総務課長。 10年、金融庁検査局総務課長などを経て現職

 佐々木事務局長は2002年に国際通貨基金(IMF)に派遣されていた時にケイマン諸島等のタックスヘイブン(オフショア金融センターとも言われる)における金融監督体制の審査を担当し、帰国後には証券取引等監視委員会の特別調査課長としてライブドア事件などを担当した。

 「公開されたリストを見たが、タックスヘイブンのごく一部が公開されただけではないか。金融の世界ではタックスヘイブンはオフショア金融センターと同義語だが、パナマ以外にもいくつもタッスヘイブンがある。今回はパナマが問題視されているが、英領バージン諸島、ケイマンなど他にも問題がある」と指摘、今回の公開はあくまで、全体の一部に過ぎないとの認識を示した。

 日本の多くの企業がこうしたオフショア市場にSPCを設立している。多くは税制上の利点を使った資産運用、資金調達、M&A(企業買収・合併)の際に使われるケースが多い。設立するメリットについて「設立手続きが簡単で設立のための費用が安く現地の当局の規制が緩いなどだ」と説明。

 「よく使われるのが本国にある親会社とは別のSPCを作り、この会社を使って資産運用や資金調達を行うことで、仮に失敗しても親会社に責任や被害が及ばないようリスク回避ができるようになっている。問題になるのはこれらの地域の監督当局の能力が不十分なことと、規制が緩いためにSPCが不正の隠れ蓑に悪用されることがある点だ」と指摘する。

 国内の休眠会社などを利用するケースもあるが、海外の方は見つかりにくいことから、海外のオフショアに設立することが多いという。

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