WEDGE REPORT

2016年5月11日

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 東京ガスの広瀬道明社長は日本記者クラブで講演し、電力料金の自由化について「2020年までに首都圏の世帯数(1100万)の1割の獲得を目指す」と述べた。4月に始まった電力料金の完全自由化では同月下旬の段階で74万件が新しい電力会社への契約切り替えが行われ、そのうち東京ガスは同月25日現在で28万件を獲得、自由化後では最大の件数になっている。

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 広瀬社長は1割獲得の目標について「スタートしてみると1割は非常に高いハードルだと思っているが、この旗はそのままで努力したい」と強調した。東京ガスは16年度を電力小売り事業に進出する「第二の創業」と位置付けており、新しい顧客獲得に力を注ぐ方針だ。

 電力料金自由化がスタートして以来、首都圏では事実上、守る立場の東京電力と攻める側の東京ガスの戦いになっており、両社ともに電力料金引き下げにつながる料金プランを発表している。

 現在、電力小売り事業には全国で200社余りが参入してきているが、消費者の関心はいまひとつなのが現状で、思ったほど切り替えが進んでいない。今後、東京ガスが目標の1割を達成するためには、消費者にとって魅力的な料金プランを示せるかどうかにかかっている。自由化による顧客獲得の営業方針としては「単にエネルギーを安く供給するだけでなく、エネルギーを柱にサービス面を含めた新しい生活スタイルを提供したい」と指摘した。

「パンケーキ」問題

 来年度から予定されているガス料金の自由化については「来年スタートすることになっているが、実際にはもう始まっている。電力会社を含めて多くの事業者がそれを見通していろいろな動きをしている。価格が安くなるだけでなく、安定的にリーズナブル価格で提供することが必要だ」と述べた。

 導管を使うガスの輸送では、複数のガス事業者が供給区域をまたいで顧客にガスの供給を行う場合、供給区域を越えるごとに託送料金を上乗せされることからパンを重ねる状態に例えて「パンケーキ問題」と言われている。

 電力の自由化ではガス会社などの新規参入の業者が既存の電力会社を跨いで送電線を使う場合は、既存の電力会社と平等に費用を負担し公平な競争条件になっているが、 現段階では新規業者がガスの導管を使った場合は既存ガス業者よりも負担が大きくなっており、電力会社などからは このまま自由化された場合には不公平ではないかという意見が出ていた。

 これについて広瀬社長は「いろんな事業者を経由すると託送料金が積み上がってくる。この問題は現在、審議会で検討されており6月には結論が出るので、結論が出たらそれに従いたい」と話した。

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