WEDGE REPORT

2016年5月30日

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 過激派組織「イスラム国」(IS)の首都であるシリアのラッカに対する制圧作戦が始まった。すでにラッカ北方では激戦が展開され、米軍も空爆を強化している。IS側は幹部の家族らをラッカから脱出させ、死を覚悟して戦う構えだが、制圧作戦の矛先を鈍らせるため、欧州も含め各地でテロを激化させる懸念が高まっている。

IS対して行われた空爆で上がる煙(GettyImages)

米特殊部隊300人も前線に

 制圧作戦は5月24日に始まった。作戦を担うのは「シリア民主軍」(SDF)だ。主力はシリアのクルド人武装組織「人民防衛隊」(YPG)2万5000人と、アラブ人武装勢力5000人の計3万人で構成されている。シリアに投入されたデルタ・フォースなど米特殊部隊約300人も行動を共にしている。

 すでにラッカ北方約50キロの地点では進撃するSDFに対してISが迎え撃ち、戦闘になっている。米軍とSDFはラッカを一気に制圧するのは難しいと判断、段階的に包囲網を縮めていく考え。第1段階としてはラッカまで20~30キロの地点まで進撃し、橋頭堡を築くことを目標としているようだ。

 米国は長い間、「シリア民主軍」をまとめ、制圧作戦を開始させるのに腐心してきた。YPGは強力な武装組織として米国が唯一頼りにしている勢力で、軍事支援や協力を進めてきた。しかしラッカはアラブ人(シリア人)の都市であり、クルド人の組織であるYPGには戦うメリットがあまりなく、制圧作戦への関心は薄かった。

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