ウェッジ新刊インタビュー

2016年6月1日

»著者プロフィール
著者
閉じる

白川修一郎

睡眠評価研究機構代表、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所客員研究員。医学博士。東京都神経科学総合研究所客員研究員。睡眠研究のパイオニアとして知られ、JR東海など企業の睡眠教育にかかわるほか、各メディアで睡眠科学に基づく正しい睡眠の方法を解説している。主な著書に『脳も体もガラリと変わる!「睡眠力」を上げる方法』(永岡書房)、監修書に『応用講座 睡眠改善学』(ゆまに書房)などがある。

よく眠れた翌日は、頭がスッキリ仕事がはかどる。逆に不眠が続くと、頭がぼんやりしてしまう。仕事のパフォーマンスには、実は睡眠の質が大きくかかわっていることがわかってきました。忙しいビジネスパーソンが質の高い睡眠を得るにはどうしたらいいのか。睡眠研究のパイオニアで、『ビジネスパーソンのための快眠読本』を上梓したばかりの白川修一郎・睡眠評価研究機構代表に話を伺いました。

睡眠不足が、ヒューマンエラーを招く

 いま、非常に多くのビジネスパーソンが、睡眠に悩みを抱えています。寝付けない、寝てもすぐ起きてしまう、起きたい時間に起きれない・・・。

 最初にはっきり言いましょう。こうした睡眠不足が続くと、労働災害を引き起こす可能性が高まります。さらには心身の健康リスクも高まる。だから、ビジネスパーソンは睡眠を大事にしなくてはならないのです。

 日本のビジネスパーソンは、OECD加盟の先進国のなかで睡眠時間が最も短い。睡眠が短いとどうなるか。ヒューマンエラーが多くなり、重大な労働災害を引き起こす可能性が高まります。睡眠不足の脳は、軽い酩酊状態と同じだという研究調査の結果も出ているほどなんですよ。NASAのチャレンジャー爆発事故など、過去、重大なヒューマンエラーが起こった現場では、関係者の睡眠不足も指摘されています。

OECD加盟国の睡眠時間の違い(OECD:Society at a Glance, 2009より改変、睡眠改善委員会。以下、図版はすべて『ビジネスパーソンのための快眠読本』から転載)

 そもそも日本人は長時間労働が多いんです。サービス残業をしたり、週休二日制の導入によって、仕事を5日で終わらせようとがんばって、平日の睡眠時間が減っている。「先輩より先に帰れない」なんていう‘空気’も、影響しているかもしれない。

 それは長らく、「長時間労働=より多くの仕事量=会社の利益増大、という方程式が正しいものと多くの経営者や管理者が信念を持って思い込んできたためでしょう。しかし、最近の睡眠科学は、そのような考え方を疑問視しています。スッキリした脳で短時間集中し、効率よく働いたほうがいいに決まっていますから。気合で働く風潮から、脱却しましょう。

お話を伺ったのは、睡眠研究のパイオニア・白川修一郎先生。NHK「あさイチ」や雑誌の睡眠特集でもおなじみ。

 なお具体的には、前夜の睡眠時間が4時間以下になると、急激にヒューマンエラーが増えることがわかっています。では5時間以上の睡眠をとっていれば大丈夫かというと、そうでもない。5時間の睡眠が2晩連続すると、ヒューマンエラーの数は4時間以下の睡眠の時と同じようなレベルにまで増えてしまうのです。

 なぜならば、睡眠不足は累積するからです。これを睡眠科学では「睡眠負債」と呼んでいる。1時間の睡眠不足が10日間続くと、睡眠負債は10時間分溜まることになります。睡眠負債が大きくなる前にしっかり寝る時間をつくって負債を返済しておかないと、明らかに仕事のパフォーマンスは落ちてくるはずです。

 

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る