WEDGE REPORT

2016年6月17日

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村中璃子 (むらなか・りこ)

医師・ジャーナリスト

医師・ジャーナリスト。東京都出身。一橋大学社会学部・大学院卒、社会学修士。その後、北海道大学医学部卒。WHO(世界保健機関)の新興・再興感染症対策チーム等を経て、医療・科学ものを中心に執筆中。京都大学大学院医学研究科非常勤講師も務める。

 チャンピオンデータとは、自分の仮説にとって最も都合のよいデータのこと。チャンピオンデータは、必ずしもその集団を代表するものではなく、たまたま生じただけの場合もある。

 怪しく光るマウスの細胞の画像を見て、いかにも科学的という印象を持った人も多いかもしれない。しかし、STAP事件を通じて世間に広く理解されたとおり、動物実験で重要なのは「再現性」だ。また、通常の科学研究の発表においては、それぞれのワクチンを何匹にどのような量を投与して、いつ、何匹中何匹にどんな異常が生じたのかを解析したデータを合わせて示すことが普通であるが、池田発表では明らかにされていない。

 宮川教授がチャンピオンデータではないかと疑う理由はこのあたりにあるが、公表されていることだけで分析できるのはここまでだ。

実験の詳細は「話せない」

 3月16日の発表直後、筆者は池田教授に「実験で用いたマウスの数、ワクチンの投与量など、スタディのデザインや条件を詳しく教えてください」と問い合わせた。すると、池田教授は「マウスの実験は私ではなく、信州大学の他の研究者が発案して実施しております」と責任の所在を濁し、「詳細は研究のオリジナリティと論文作成のためお話しすることはできません。電子顕微鏡写真等の個別データの解説は控えさせていただきます」と、一切の回答を避けた。

 しかし、池田教授は、2月末に開かれたクローズドの合同班会議で「病態解析のためのモデルマウスの作成は産婦人科の塩沢丹里教授たちがやっています」と発言して、マウス実験を発案したとされる“他の研究者”に関する手がかりを残していた。

 塩沢丹里教授は、腫瘍を専門とする産婦人科医には珍しく「検診は勧めるがワクチンは勧めない医師」として知られ、池田班に名を連ねる唯一の産婦人科医でもある。実際に手を動かしたのは、信州大学産科婦人科学教室の誰なのか。筆者は周辺取材を重ね、それがこの4月に信州大の准教授から関東圏の新設大学の教授職に転出したA氏であることを突き止めた。

 去る6月3日、再三再四の申し入れに対し、ようやく取材に応じたA氏は、耳を疑うような発言を重ねた。

 明らかになったのは驚くべき捏造の事実だった。

※詳細は6月20日発売の月刊Wedge7月号「子宮頸がんワクチン薬害研究班 崩れる根拠、暴かれた捏造」に掲載しています。ぜひご覧ください。

  
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◆Wedge2016年7月号より

 

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