WEDGE REPORT

2016年7月20日

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学生らへの影響が懸念

 同容疑者の現在の所在などは一切明らかではなく、実際に今回のダッカのテロにどう関与したのかも不明だ。しかし襲撃犯らが当初から日本人ら外国人を狙い、襲撃直後に日本人を殺害していることなどを考えると、同容疑者が長年日本に滞在していた事実は無視できないだろう。むしろ、大きな意味を持ちかねない。

 しかも日本でテロが発生する危険性についてはこれまで、国内のイスラム教徒の人数が少ないために過激派の受け皿がなく、イスラム世界と距離的にも遠いことから国内でテロが発生する可能性は小さい、と考えられてきた。

 しかし「容疑者が日本に滞在中にイスラム過激主義、それもISの思想に傾倒していたとすれば、これまでの認識を変える必要がある。本人が出国していたとしても、教師であることを考えると、学生や周囲が彼の影響を受けなかったのか、懸念される」(テロ専門家)という見方も出るだろう。

 日本にイスラム過激派が滞在していたことは今回が初めてではない。2002年から翌年まで国際テロ組織アルカイダに属していたリオネル・デュモンのケースがある。デュモンはシンガポールから偽造旅券で日本に入国。短期の出入国を繰り返しながら、新潟に潜伏していた。

 しかしその存在が明らかになったのは、日本を出国してドイツ当局に逮捕された後だった。デュモンは新潟で中古自動車の輸出などの商売を手がけ、逮捕された後に、仕事仲間や友人らが摘発された。

 バングラデシュ当局が手配した10人のリストにはカナダとオーストラリアに居住していた2人も含まれている。特にカナダから2013年に帰国して行方知れずになっているタミン・アハメド・チョウドリ容疑者がダッカ・テロのカギを握る人物と見られている。

 捜査当局は、チョウドリがバングラデシュの地元のIS系過激派「ジャマトウル・ムジャヒディン・バングラデシュ」とシリアのISをつなぐ役割を果たし、飲食店を襲撃した実行犯5人の徴募、訓練、武器の調達を仕切り、テロを背後から操ったと見ている。オジャキがチョウドリとともに今回のダッカ・テロに深く関与した可能性も十分ある。
 

  
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