WEDGE REPORT

2016年7月4日

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 南アジアのバングラデシュの首都ダッカのレストラン「ホーリ・アーティサン・ベーカリー」で起きたテロ立てこもりの実態が地元メディアなどの報道で次第に明らかになってきた。襲撃犯たちは客の中から外国人を選別し、イスラムの聖典コーランの一部を暗誦させ、できなければ惨殺するなど残虐極まりない犯行を行っていた。

7月3日、封鎖が続くテロ現場(Getty Images)

「外国人だけを殺す」

 同レストランは日本大使館や各国大使館、外国人向けの高級マンション、しゃれた飲食店などが立ち並ぶ「グルシャン地区」にある。この夜は金曜日とあって襲撃犯が店内に侵入してきた夜8時45分ごろには40人弱の客が席についていた。9時半ごろには満員になる見通しだった。

 襲撃犯はライフルや手投げ弾などの武器を入れていたとみられるバッグを持ち、店内に押し入ると、銃を出して空中に向けて乱射。この際、「アッラー・アクバル(神は偉大なり)」と叫んだ。客たちは銃弾を避けようと、テーブルやイスの下に隠れたが、この時は、襲撃犯が客たちを銃撃することはなかった。

 レストランのバングラデシュ人の従業員によると、5、6人の男たちはジーンズとTシャツ姿で、全員が「ハンサムで教養があり、このようなことをするとは全く見えなかった」という。襲撃犯は明らかに外国人を捜し回っている様子でレストランの外にいた客も店内に押し込んだ。イタリア人、日本人ら外国人35人ほどが人質になった。

 近所の人はこの際「私は日本人だ。撃たないでほしい」という声を3回聞いたという。やがて警察官が駆け付け、襲撃犯と銃撃戦になった。襲撃犯は屋根の上などから発砲し、手投げ弾を投げた。この時の交戦で、警察官2人が死亡し、約20人が負傷した。

 銃撃戦は約1時間で静まり、警察がレストランを包囲する中、襲撃犯と交渉しようとしたがうまくいかなかった。襲撃犯からの要求が全くなかったからだ。従業員ら8人がトイレに逃げ込んでいたが、襲撃犯は「ベンガル人は殺さない。緊張しなくていい。われわれは外国人だけを殺す」と話し、ドアを開けさせた。

 従業員らはトイレから出た時、レストランのフロアに6、7人の外国人とみられる遺体が横たわっているのが見えた。被害者は撃たれ、そして手刀で傷付けられていたようだった、という。襲撃犯は外国人からアルコールの臭いがすると嫌悪感を示し、「彼らの生活スタイルは地元住民を汚染する」と述べた。

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