WEDGE REPORT

2016年10月11日

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与那国島の基地反対を掲げる看板の数は激減していた
(写真・WEDGE)

 4年前に島を訪れたときには、反対派ののぼりや看板がいたるところにあり、目立っていたが、その数は激減し、ペンキの色は褪せていた。

 同じく反対派で与那国町議会議員を務める田里千代基氏は、「基地の必要性について納得できていない。中国の軍事費が伸びているといっても13億人の人口がいて、GDP(国内総生産)も日本より上。人口比で考えると、ある意味、日本の13倍規模の軍事力があって当たり前。様々な摩擦はあるが、近隣国とは仲良くしなければならない」と語気を強める。

 「今後、条例でどのような規制をできるかが焦点」と話すが、具体的には、迷彩服で集落を歩かせない、公共施設の出入りをさせない、基地や隊員の規模をこれ以上拡大させないといったことを考えているという。

 気の毒なのは、国を守る使命を帯びて島に移り住み、一部の島民の冷たい視線を浴びる自衛隊員だ。隊員とその家族は島民との距離を縮めるため、集落対抗の運動会や漁民最大の行事である「ハーリー」と呼ばれるクリ舟の競漕イベントに参加するなど、島に溶け込む努力を欠かしていない。

駐屯地の周辺は牧場のため、隣接する道路では馬が行き交う(写真・WEDGE)

 国が主導する「南西シフト」の拠点は与那国島だけでない。「検討地域」として具体的に石垣島、宮古島、奄美大島の名があがっている。反対派の田里町議会議員は「島外の反対派の人たちと力を合わせて、新たに離島に基地を造らせないことを考えている。マスコミや裁判を使うといった手法も視野に入れている」と話す。検討地域のなかで、もっとも混乱が生じる可能性が高いといわれる石垣島へ向かった。

好漁場失ったと嘆く石垣島の漁師

 「魚釣島というぐらいだからね。尖閣諸島周辺は本当によい漁場」

「尖閣で漁ができなくなった」と嘆く漁師の高橋拓也氏(左)と具志堅用治氏(右)(写真・WEDGE)

 石垣島出身の元プロボクサー・具志堅用高氏の従兄弟である具志堅用治氏が会長を務める八重山鮪船主会のメンバーは口を揃えてそう話す。この船主会に属するメンバーは尖閣諸島周辺でマグロやカツオなどを獲っていたが、「2012年の尖閣諸島国有化からいよいよ周辺海域に近付けなくなった。中国船とのトラブルを恐れてか、海上保安庁に止められる」と嘆く。今でも同海域で漁をする権利は有するが、実態として好漁場を失ったかたちだ。

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