WEDGE REPORT

2016年10月19日

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風樹茂 (かざき・しげる)

作家、国際コンサルタント

作家、国際コンサルタント(kazakishigeru@gmail.com)。1956年、北海道生まれ。東京外国語大学スペイン語学科卒業。メキシコ留学後、中南米の専門商社を経て、南米アマゾンの奥地でODAプロジェクトの鉄道建設にかかわる。その後は、シンクタンク、研究所勤務などで、首相向けの政策提言、ODA援助、海外投資、NGOプロジェクトに従事。イスラム開発銀行のコンサルタントも経験し、30数カ国を踏査。石油関連事業でカタール、ベネズエラに駐在。

イスラエルのアメリカ企業はヨルダンに天然ガス輸出 総額100億ドル!

 帰国後、『Oil and Gas Journal』などにあたってみると、なるほど2010年に地中海沖で天然ガス田が発見されている。イスラエル沖、シリア沖の東地中海の推定埋蔵量は1兆750億m3。ちなみに、LNG化した天然ガスの輸入量は日本が世界最高で、年間1180億m3(2015年)、そのうちカタールからは202億m3輸入している。

シリア難民の子供「おじさん寄っていきなよ」

 シリアは内戦でガス田採掘の余裕はないし、さらに日本を含めた欧米の経済制裁中である。もしそのような制限がなければ、シリアは近隣国へガスを輸出できる可能性があったし、日本さえシリアから天然ガスを輸入する方策もあっただろうから、競争原理で輸入価格はさらに下がっていた。しかも中東のパワーポリティクスも激変する。それを嫌うのは何もカタールだけではない。

 結局、果実を得たのはイスラエルとアメリカ企業であった。。内戦のシリアを尻目にイスラエル沖では、米国企業Noble Energy社がガス田採掘を開始し、2013年には早々生産にこぎつけた。そして、この9月26日に、総額100億ドル(総計450億m3、15年間)の天然ガス輸出契約をヨルダンと結んだ(『THE JERUSALEM POST』)。イスラエル史上初のエネルギーの輸出となる。

 国内外のシリア難民は1170万人、死者は30万人を超えるという。

  
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