WEDGE REPORT

2016年10月21日

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 8月23日付けの読売新聞と朝日新聞に「私たちは音楽の未来を奪うチケットの高額転売に反対します」という意見広告が全15段で掲載された。広告を出したのは日本音楽制作者連盟、コンサートプロモーターズ協会(以下、ACPC)など4つの音楽関係団体。賛同者として人気アイドルグループの嵐やサザンオールスターズなど116組の著名アーティストが名を連ねた。

各紙に掲載されたチケット高額転売に対する反対の意見広告 写真を拡大

 意見広告で音楽関係団体は、(1)ライブ(コンサート)のチケットを買い占め、転売サイトで何十倍という高価格で取り引きを行っている個人や業者が横行している、(2)それが原因で本当に欲しいファンのもとにチケットが届かない、(3)中には偽造チケットなどあり、弊害がファンに及んでいるなどと主張した。これに対してネット上では「転売は本当になくなって欲しい」「高額転売は禁止すべきだが定価での転売も禁止するのか」など賛否両論が沸き起こった。

 加えて、大阪大学社会経済研究所の大竹文雄教授が「チケット転売は需給が一致したところで価格が決まり、売り手と買い手の双方が得をするという意味で新たな価値を生み出す行為。経済学者が疑問に思うのは需要超過(で高額転売)が発生しているのであれば、なぜ最初から高い価格でチケットを売り出さないのか?」と経済学的な分析を日本経済研究センターに寄稿したところ、これに対する意見もネット上で数多く投稿された。

 WEBサイト「チケット転売ランキング」ではネットオークション「ヤフオク!」で取り引きされた音楽・舞台のチケットの転売価格がアカウントごとに集計されているが、1カ月間で2500万円以上取り引きしているアカウントも存在している。

 いわゆる「ダフ屋行為」は各都道府県の迷惑防止条例で規制されているが、ネット上での転売は、各条例の「公共の場所」にあたるかが明確になっておらず、ネット上では彼らは「転売屋」「白ダフ屋」と呼ばれている。

 意見広告を出稿した契機についてACPCの石川篤総務委員は「昨年夏に、チケットキャンプがヤフオク!やメルカリもしなかった大々的なテレビCMを流したこと」と語る。

 「チケットキャンプ」(運営はフンザ・東京都渋谷区)は興行チケットの転売を手がける業界第1位のサイトだ。月間の売買成立額(2015年12月)は36億円に及ぶ。サイト上には、嵐の1枚9000円のチケットが20万円で出品されるなど、20万枚を超えるチケットが出品されている。

 音楽業界では高額転売を防ぐため、チケット購入者と入場者が同一人物である本人確認を厳格化する動きが出てきた。人気アイドルグループ「ももいろクローバーZ」のライブでは顔認証技術によってチケット購入者の本人確認を実施している。また同グループは、チケットキャンプを利用してファンクラブ限定イベントのチケット転売を行ったファンクラブ会員を退会処分にした。

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