サイバー空間の権力論

2016年7月8日

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 前回はフランスで議論されている勤務時間以外の仕事メールを禁止する法案について考察した(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/7042)。切断する権利とも呼ばれる法案が、ポストフォーディズムを生きる労働者にとってよりよい成長を促進する契機となれば幸いである。

 今回は映画産業について論じたい。VR(バーチャルリアリティ)を駆使した新しい映画体験の提供など、変化しつつある映画業界にネットがさらに大きな影響を与えることが予想されている。

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ナップスター創設者が手がける次なるサービス

 ナップスター(Napster)という名前を読者は覚えているだろうか。ナップスターは中央サーバを介さずユーザーとユーザーを直接結ぶP2P(ピア・ツー・ピア)とよばれる技術を用いたファイル共有ソフトであり、共有意志のあるユーザーたちを媒介するもので、日本でも名が知られたファイル共有ソフト「ウィニー(Winny)」などの元祖としてもしられる。

 ナップスターは音楽の違法共有を可能にする技術であったことから音楽業界等に問題視され、現在まで続く違法ダウンロードや海賊版問題を加速化させた側面もある(ちなみに、P2P技術そのものはユーザーを直接つなぐものとして期待された技術であり、その技術はマイクロソフトに2011年に買収されたインターネット電話サービスの「スカイプ」に利用されたことでも知られている。技術は使い方次第である)。

 ナップスターを製作したナップスター社はアメリカで1999年に設立されたが、音楽業界などからの訴訟が影響し、はやくも2003年には倒産した(ナップスター自体はその後も形態を変更して様々なサービスを行った)。ナップスターについても多くの議論は可能だが、本稿が注目するのはナップスター共同創設者のショーン・パーカー(1979年〜)という人物である。

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