サイバー空間の権力論

2016年6月17日

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 前回は生体認証システムの導入によって社会は変わり得るかを論じた(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6957)。

 生体認証はパスワードの代わりに多くの利便性をもたらす一方、セキュリティの不安を完全に拭い去ることは困難であることも確認された。しかし、1対Nのサービス展開など、期待したい技術であることは間違いない。

 今回はフランスで議論になっているある法案から、我々の社会が直面する労働意識の問題を考えたい。

仏国民は肯定的
「勤務時間以外の仕事メール禁止」法案

 現在フランスでは労働法の改正案が議論されている。この改正案、実質的に労働者を解雇し易くすることで労働者の立場を危うくするといった批判が相次いでおり、フランス全土で合わせて最大50万人がデモに参加したとの報道もある。つまり、国を揺るがすほどの大問題が生じている。

 そんな中、改正案の中で唯一フランス国民に受け入れられている法案があるという。それが、勤務時間以外で仕事に関するメールのやり取りを禁止する、というものだ。

(iStock)

 フランスの「レ・ゼコ―紙」の調べでは、同国の労働者のうち10人に1人が燃え尽き症候群に陥る危険性があるというが、これらは過労や精神的ストレスからくるものと想定されている。フランスでは週35時間以上の労働が法で禁止されているが、労働時間以外の労働環境等についても考えなければならないということだ(ちなみに今回の労働法改正案では、労使が合意すれば最長で週46時間労働まで容認される。労働法改正問題そのものには本稿は触れないが、様々な意味で興味深い問題を孕んでいる)。

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