中東を読み解く

2016年11月10日

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 番狂わせで次期米大統領に当選した共和党のドナルド・トランプ氏は紛争の地、世界の”火薬庫”中東にどんな政策で臨むのだろうか。選挙期間中の発言から推し量ると、次期政権の中東政策は「無関心と無謀さ」がない交ぜになった歴代政権とは異質のものになる可能性が高い。

イスラム過激派歓迎

GettyImages

 トランプ大統領の登場は、ロシアのプーチン大統領、トルコのエルドアン大統領、イスラエルのネタニヤフ首相ら世界の強硬派が歓迎した。オバマ現大統領とウマが合わなかった指導者が多い。サウジアラビアの指導者も歓迎だろう。

 特筆すべきは過激派組織「イスラム国」(IS)や国際テロ組織アルカイダ系のソーシャル・メディアが一斉に歓迎のツイートを発していることだ。IS系のサイトの1つはトランプ氏の勝利を「米国の暗黒時代の始まり」とし、同氏の「命知らず行動で米国へのイスラム教徒の敵意が高まる」と米国の新たな軍事作戦を予想した。

 同サイトはまた、トランプ氏のイスラム教徒排斥が外国人戦闘員の徴募にとっては重要だとも指摘している。アルカイダ系のサイトは「トランプが再び米国を“敵国ナンバーワン”にしてくれる」と逆説的に歓迎した。

トランプ氏には元々、中東情勢の知識はほとんどなく、また選挙期間中、中東に関する発言も少なかったが、「新政権の中東政策は無関心と無謀さが同居した特異なものになりそう」(ベイルート筋)というのが専門家の見方だろう。

 「無関心」「不介入」という点で言えば、トランプ氏は敗北した民主党のクリントン氏との2回目の討論会で「シリアにおける米国の関心はISだけ」と言い放ち、シリアの内戦がどうなろうと、民間人に死傷者が出ようが、米国には関わりがない、との考えを示唆した。

 オバマ大統領もシリア内戦には直接巻き込まれないよう慎重な方針を貫いたが、トランプ氏の持論「米国第1主義」にとっては、米国の利益にならないような介入はもっての他ということだ。

 ペンス次期副大統領が選挙期間中、人道的な危機にあえぐシリア・アレッポの市民を守るため、米軍がシリア軍への軍事行動を起こすことを支持すると表明した時、トランプ氏はこの発言には同意しないと言明した。これも「米国第1主義」に沿ったものだろう。しかしトランプ氏は一方で、ISを絨毯爆撃して根絶やしにするとも語っており、無謀さも時には顔を出す。

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