野嶋剛が読み解くアジア最新事情

2016年11月18日

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 香港に「高度な自治」を50年間は認める。それが、1997年の香港返還における中国のコミットメント(約束)だった。そして、自由貿易都市・香港が香港であり続けるための重要な柱の一つが、英国統治以来の高い信頼を得ている司法の独立性であり、香港で多国籍企業や外国人がビジネスを営むための支えでもあった。だが、香港に対して締め付けを強める中国・習近平指導部の介入の刃は次第に香港司法の牙城にも食い込みつつある――

デモを行う香港市民(GettyImages)

 16日、香港立法会(議会)の宣誓式で反中的な言動があったことで香港基本法(憲法に相当)や宣誓方法を定めた法律に違反していることを理由に、新人議員2人の議員資格が取り消されるとの審査結果が、香港高等法院(高裁)から出された。このことは1997年の香港返還から20年近くにして、香港司法の独立性の「終わりの始まり」を、多くの人に予感させた。この判断は、中国の全国人民代表大会(全人代)が直前に出した基本法解釈に沿った内容であり、中国の干渉に香港の司法当局が影響されたと受けとめられかねない。

 9月に行なわれた香港立法会(議会)選挙では、雨傘運動後に生まれた「本土派」政党が躍進し、6人の本土派議員が当選を果たした。彼らは基本的に雨傘運動を契機に政治運動に関わるようになり、街頭から議会に入ることに成功した。必ずしも全員が、中国が「分離独立勢力」という最高級の警戒を示す香港独立を主張しているわけではないが、香港の民主や主体性を徹底的に守り、中国とは一線を画すべきだとする点では共通している。

 そのなかで、比較的過激な「香港ナショナリズム」思想を掲げながら当選した政党「青年新政」の游蕙禎(25)と梁頌恒(30)の2人は、10月12日の宣誓の際に、「香港は中国ではない」という横断幕を掲げたり、英文での宣誓のなかで「ピープル・リパブリック・オブ・チャイナ(中華人民共和国)」と言うべきところを「ピープル・リファッキング・オブ・シナ(支那)」と述べたりして、中国への敵意をあからさまにする行動を取った。

 当初、立法会では2人に再宣誓させようとしたが、次第に問題視する声が大きくなり、香港政府は2人の議員資格の喪失審査を高等法院に申し立てた。そして、今月7日、基本法の最終解釈権を持っている全人代の常務委員会が、基本法に定めた通りの宣誓を行なわなければ公職に就任する資格を失うとの判断を示していた。

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