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2016年11月29日

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安齋道浩 (あんざい・みちひろ)

WEDGE Infinity編集部

 『クールジャパン』が取りざたされるずっと前、日本で漫画家になることを夢見た少年がいた。ブラジル出身の漫画家モクタン・アンジェロ氏。「禅の本質とは何か」を禅僧に取材し、自らも禅を体験することで描いた漫画『my 禅 Diary』をプレジデントネクストで、今年6月より連載している。禅に興味を持ったのは高校生の時。日本文化の紹介者として知られるドイツの哲学者オイゲン・ヘリゲルの著書『弓と禅』に出合い、禅はお寺だけでなく日常で実践できることを知ったのがきっかけだった。それにしても、言葉も文化も違う日本でなぜ漫画家を目指したのだろうか。モクタン氏にインタビューを試みた。

モクタン・アンジェロ。1982年生まれ。ブラジル、ミナス・ジェライス州ベロ・オリゾンチ市出身。漫画家/イラストレーターとして活躍中。現在、『PRESIDENT NEXT』で『my 禅 Diary』を連載。著書に『まちのしくみ バックヤード絵ずかん』(東京書籍)等。HP: http://wwstudio.jp/。Facebook:https://www.facebook.com/mokutan.angelo

日本に憧れを持ったきっかけ

 「私が小学生だった頃、ブラジルでは、日本で放映されたアニメが爆発的なブームでした」。日本に拠点を移して10年。モクタン氏の流ちょうな語り口は、外国人であることを感じさせない。

 日本に興味を持ったきっかけは、日本のアニメ『聖闘士星矢』だった。今でこそ、日本のアニメは世界中に輸出されていることは知られているが、20年以上も前に日本の反対側、遠く離れたブラジルで大ブームになっていたことには驚かされる。

『my 禅 Diary』PRESIDENT NEXT vol.17掲載

 ブームの背景には、ストーリーがおもしろかったのはもちろんだが、「ギリシャ神話が題材になっていたことや、星座ごとに設定されたキャラクターの存在がブラジル人には馴染みがあったからでしょう」とモクタン氏は分析する。日本では性格診断として血液型占いが存在するが、ブラジルでは血液型ではなく星座が使われているためだ。

 日本のアニメに感銘を受けたモクタン氏は、将来、日本で漫画家になりたいという想いを徐々に抱きはじめた。

 「日本語を勉強して、日本で漫画家になりたい」

 両親に相談したのは、若干14歳の時だった。芸術家であった父が絵の教育にも熱心だったこともあって、家族は理解を示した。「ブラジルでは、漫画は芸術として認識されていることも理由としてあった」と感じている。当時、ブラジルで3番目に大きな都市に住んでいたが、日系人は少なく、日本語を学ぶ場所も少ない環境だった。インターネットの普及もまだまだで情報も少なかった。それでも、なんとか評判の良かった日本語学校を見つけて週2回放課後に通い始めた。

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