WEDGE REPORT

2016年11月21日

»著者プロフィール
著者
閉じる

木下斉 (きのした ひとし)

一般社団法人エリア・イノベーション・アライアンス代表理事

1982年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業、一橋大学大学院商学研究科修士課程修了。経営を軸に置いた中心市街地活性化が専門。内閣官房地域活性化伝道師等も務める。近書に『稼ぐまちが地方を変える』(NHK出版新書)。

 予算が出ると思って猫も杓子も使うマジックワードが、地域活性化分野ではその時代時代に存在する。製造、流通、販売まで農業を一貫する「六次産業化」、都市を小さく集約する「コンパクトシティ」など列挙すればキリがない。

 近年は「クールジャパン」と「地方創生」もまさにこのマジックワードの部類に入るが、この合わせ技で予算を獲得する事例が出てきている。

「忍者」で地方創生!?煙に巻かれた成果

iStock

 世界が知るクールジャパンといえば「忍者」という話になり、2015年度における地方創生関連交付金で合計約1億7200万円の予算がついた。さらに、この予算活用のために忍者にゆかりのある三重県・神奈川県・長野県・滋賀県・佐賀県、さらに伊賀市・甲賀市・上田市・嬉野市・小田原市などが発起人となり、日本忍者協議会まで設立された。

 とはいえ、内容としては忍者を用いたイベント開催や忍者PR動画を入札して外注するという極めて古典的な手法となっている。結局は、代理店などへの外注頼みの「忍者」事業なのである。このような外注頼みの方法では、地域に一切のノウハウが残らず、失敗しても外注先にその責任を押し付けられるため、事業の改善が期待できないという問題点がある。

 また、外注した事業成果として参加する自治体が期待しているのが、観光客の増加だ。それ自体は良いのだが、事業の成果を測る地方創生予算の重要業績評価指標として指定している数値に問題がある。各自治体がばらばらに外国人旅行宿泊数、県内の延べ宿泊者数といったようなマクロ統計を目標設定しており、それでは忍者事業の効果を測ることは全くできない。

 円安で外国人観光客が増加したり、はたまた全く税金に関係なくやっている地域のイベント、誘客キャンペーンによって増加する観光客数も全てこの成果に含まれてしまう目標設定になっている。本来であれば、新たに企画した忍者ツアーの参加者数や売り上げなどを目標設定すべきだろう。

 さらに甲賀市に至っては、地方創生先行型予算で約2350万円の予算を獲得し、市・観光協会のホームページ閲覧数の10%アップという目標を設定。結果として9・3%増加して、成果があったとしているのだが、実数をみて驚愕する。

関連記事

新着記事

»もっと見る