2024年4月26日(金)

Wedge REPORT

2016年11月21日

 「(H26)50万775件のアクセスが(H27)54万7220件に増加」とあるのだ。わずか年4万件の閲覧数を獲得するために2350万円もの国費を投じたのである。しかも、前述の観光客数同様に本当にこの予算の成果としてアクセスが増加したかという因果関係は、誰も確認できない。

 このように、目標設定自体が大変いい加減なもので、結局は予算を使って、海外への動画配信やイベントなどを行うだけで終わり、という実態がそこらじゅうにある。

 従来から地域活性化は予算を獲得するための名目としてマジックワードを活用してきた。そして、成果が出ても出なくても責任を求められない目標を掲げ、結局はバブル崩壊の煽りだの、リーマンショックの影響だのといったその時々のマクロ要因に責任を押しつけ、個別事業の責任はないといったような極めて適当な総括をして終わりにしてきた。そのようないい加減な事業運用の成れの果ての姿が現在の地方である。

 そして、今回も同様の事業方式が繰り返されているのである。クールジャパンネタの「忍者」を使えば、地方創生予算も引き出しやすい。

 実は、この複数都道府県市町村合同の「忍者マーケティング事業」の1億7200万円だけでなく、地方創生加速化交付金だけでも「忍者列車事業」に約8188万円、「伊賀流クールジャパン~忍者(NINJA)に会える・学ぶ・なれるまち~」事業に約3716万円、「甲賀流忍者観光加速化事業」に約2578万円もの国費が投じられている。

 もし、本当に忍者に高い市場価値があるのであれば、投資家や金融機関による投資・融資が可能なはずだが、なぜか税金ばかりが投入される。それは、実際にはそこまでの市場価値がなく、民間としては身銭を切ってまで付き合いきれない現実を示している。次の大阪の事例はその典型例だ。


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