対談

2016年12月10日

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機械に管理されるイメージの源流

飯田:「AIを活用した働き方」と聞いて多くの人がイメージするのは、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』に登場した「ビッグブラザー」のように、機械がすべての人間の行動を制御して、人間は機械の指示通りに働かされる、そんなディストピアでしょう。もう少しマイルドにいえば、効率最優先の社会でしょうか。ですが、機械のアウトプットの設定をするのは人間です。なぜか「人工知能による管理」=「非人間的な効率化」だと思われてしまっていますね。

矢野:これまでの経験からだけでは、人工知能が人々の生産性にどのように関わり、どうやってハピネスが高まるのかがイメージできないのでしょうね。私たちが昨年から始めたビジネスは、増やすべきコミュニケーションや逆に減らすべきコミュニケーション、改善すべき時間の使い方を、人工知能を活用してお客様にフィードバックするというものです。銀行や航空会社などに導入いただいていますが、とても好評です。

矢野和男氏

飯田:加速度センサーで行動の内容を判断するというのは、普通は思いつきませんね。

矢野:加速度は人間のアウトプットです。人間のインプットは無限にありますが、アウトプットは基本的には筋肉の動きに現れます。脳の活動波が注目されがちですが、脳は中間にあるいわばルーターの役割を果たすものですので、アウトプットをはかるのにはむしろ筋肉の動き、つまり加速度が適しています。

飯田:動きを計るのはテイラー・システム(20世紀初頭にフレデリック・テイラーが提唱した労働者管理法。生産工程での様々な動作をストップウォッチで計測し、標準的な作業時間を算出したことで知られる)と同じですよね。なぜテイラーの時代に動作に着目したかと推測すると、当時の統計技術やデータ収集能力では、それ以上高度なことはできなかったからじゃないでしょうか。

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