ネット炎上のかけらを拾いに

2016年12月14日

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 前提となる知識が共有される日は来るのだろうか。

制作サイドの自覚なき偏見

 日本マクドナルドが制作したCMが炎上し、動画がインターネット上から削除された。炎上した動画は、5人のお笑い芸人たちがテーブルを囲み、「ナゲッツゲーム」をする内容だった。ゲームでミスをした男性(ダンディ坂野)に対して、お笑いコンビ・メイプル超合金のカズレーザーがキスしようとし、怯える表情のダンディ坂野がクローズアップされて終わる。カズレーザーは、男性とも女性とも交際経験のあるバイセクシャルであることを以前から公表している。ちなみにこの動画の中で、カズレーザーの相方である安藤なつは、ダンディ坂野をその体で押さえつける役を担っている。

iStock

 制作側が自らの偏見に気付いていないことがわかる良いケースだと思う。このCMは、「ゲイ(もしくはバイ)の男性は男性なら誰でも性的な対象にする」という偏見の基に成り立っている。

 異性愛者の男性が女性なら誰でもいいわけではないのと同じように、同性愛者の男性も男性なら誰でもいいわけではない。なぜ異性愛者の男性にとってだけ、キスが罰ゲームだと描いているのか。

 そもそも、相手の同意なく性的な接触をすることを「楽しいゲーム」の一環であるかのようにファミリー向けファーストフード店がCMをつくることがおかしいのだ。そしてさらに、カズレーザーが男性にキスをしても、彼自身が傷つくことはないかのように描かれるのがおかしい。彼がバイセクシャルだから、誰と性的な接触をしても彼は傷つかないのというのだろうか? キスされる男性にとっては「罰ゲーム」なのに。無茶苦茶だ。ひどすぎるだろう。

 カズレーザー自身がキスをOKしていたかどうか、という問題ではない。この演出自体がバイセクシャルやゲイへの偏見の追認であることを指摘している。

 確かに、ゲイやバイセクシャルはメディアを通じてそのような描写のされ方をしてきた。そのように振る舞うことを求められて、テレビカメラの前でそう演じてきた人もいるだろう。人は多様であるのに、マイノリティであればあるほど枠にはめられやすい。バイセクシャルが好色家のように描かれることだけではない。「障がい者はいい人」「ハーフは美人」なども、勝手にあてはめられる枠だ。

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