世界の記述

2016年12月29日

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大西康雄 (おおにし・やすお)

日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所・上席主任調査研究員

1977年早稲田大学政治経済学部卒、アジア経済研究所入所。駐中国日本大使館専門調査員、中国社会科学院工業経済研究所客員研究員、アジア経済研究所地域研究センター長、JETRO上海センター所長などを経て現職。

 人民元は、その為替レートの動向や中国当局による為替操作の問題に焦点があてられることが多いが、10月1日から正式にIMFの準備通貨となったことを考慮すれば、中長期的観点からの検討が必要な段階となっている。

 まず、準備通貨としての未熟さをどう克服するかだ。IMFバスケット内の構成比率は米国ドル、ユーロに次ぐ10.92%で円8.33%、ポンド8.09%を上回る地位に立ったが、国際金融市場で通用する国際決済通貨(ハードカレンシー)としてみると、「為替市場の市場化=自由化」や「資本取引の自由」といった点で未熟さを抱いている。

 前者については、毎日の取引の起点=仲値は前日取引の終値を採用し、1日の変動幅を上下3%に制限する管理変動相場制の段階にあり、他の準備通貨と比較して市場化の程度は全く不十分である。後者の資本取引については、規定上は自由だが、実際の取引では中国当局の許可が必要であり、外資系企業などの海外送金の許可が下りないといったトラブルが頻発している。

 もっとも、当局が資本取引に目を光らせる背景には、同取引を装った投機資金の動きがある。人民元レートの先高観があった時期には、投機目的でマネーが流入したが、先安観に転じた現在では、マネーの流出が始まっている。準備通貨となった人民元レートの安定を図るために中国当局が外貨売り・人民元買い介入を実施していると見られるが、皮肉にもこれが為替操作として非難される構図となっている。

準備通過となるには未熟な人民元
(写真・ZHANG PENG/GETTYIMAGES)

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