学びなおしのリスク論

2016年12月27日

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漆原次郎 (うるしはら・じろう)

1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、科学技術関連の記事を寄稿。早稲田大学大学院科学技術ジャーナリスト養成プログラム修了。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』『日産驚異の会議』『宇宙飛行士になるには』など。

 今年どんな「心配」をしただろうか。「あした雨は降らないだろうか」「プレゼンうまくいくだろうか」。あるいは、「放言の目立つ政治未経験者が次期大統領とは、世界は大丈夫だろうか」「旅先でテロに巻き込まれないだろうか」。さまざまな心配が去来する。

 心配ゼロの生き方は望めないとしても、心配のしなさすぎやしすぎも望ましいとはいえない。心配の過不足により被る損失もあるだろうから。

 そう考えると「正しく心配する」にはどうすればよいかという疑問が浮かんでくる。

 そんな折『心配学』という新書があることを知った。著者は島崎敢氏。新書の奥付を見ると心理学者。大型トラック運転手などを経て、防災科学技術研究所の特別研究員だという。

 本を読んでみるとともに、著者にも「心配」の話を聞きたくなった。「取材を引き受けてくれるだろうか」と心配ながらに依頼を出すと、1時間後に「喜んで協力させていただきます」と返信が来てホッとした。

 島崎氏に「心配の正体」と「正しい心配のしかた」を聞いてみた。

島崎敢氏。防災科学技術研究所特別研究員。博士(人間科学)。静岡県立大学国際関係学部卒業後、大型トラックなどのドライバーとして生計を立てる。2008年、早稲田大学大学院人間科学研究科博士後期課程単位取得満期退学。早稲田大学人間科学学術院助手、助教を経て、2015年より現職。2016年の熊本地震では発生直後から現地に入り支援するとともに、各コミュニティの対応力なども現地調査した。著書に『心配学「本当の確率」となぜずれる?』(光文社現代新書)。オフィシャルホームページ:http://shimazakikan.com/wp/historyandpresentpost/

心配のもとは「リスク」

 心配は、生じては消えを繰り返すものの気がする。島崎氏は、心配の本質をつぎのように表現する。

 「不幸なできごとが起きるのか起きないのかがわからない状態が心配を生み出すのです」

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