イスラエルが国連安保理の「入植地建設非難決議」に猛反発し、決議が通るよう背後でオバマ政権が画策したと非難、あくまでも入植を続行する構え。イスラエルのネタニヤフ首相とオバマ大統領は犬猿の仲だが、オバマ氏が決議を通したのは「ネタニヤフへの最後っ屁」(専門家)。だが、中東和平の唯一現実的なアプローチ「2国家共存」は完全に崩壊の危機に瀕してしまった。
実際は英国が暗躍
今回の安保理決議に対するイスラエルの反発は凄まじかった。決議が採択された後、ネタニヤフ首相は「恥ずべき決議」と、拒否権を行使せずに決議を成立させた同盟国のオバマ政権に対する非難を激化させ、米国の駐イスラエル大使ら安保理の各国大使を呼びつけて強く抗議した。
首相は報復措置として、国連への資金拠出拒否を決定し、決議に賛同したウクライナ首相らのイスラエル訪問をキャンセルしたほか、決議の共同提案国であるニュージーランドなどからイスラエル大使を本国に引き揚げた。
決議はイスラエルが推進しているパレスチナ占領地への住宅建設などの入植活動を「甚だしい国際法の違反」と非難し、入植の即時停止を求めている。イスラエルへの非難決議に拒否権を発動してきた米国が棄権し、決議は採択された。
イスラエルとパレスチナの中東和平交渉はオバマ政権の仲介にもかかわらず、2年前から頓挫したまま。将来の中東和平の在り方は94年の「オスロ合意」に盛り込まれたようにイスラエルとパレスチナによる「2国家共存」方式が基本。一方が支配者で、他方が被支配者である限り、紛争が終わることがないからだ。
将来のイスラエルとパレスチナ国家の国境は67年の第3次中東戦争前の境界が基本、というのが国際的なコンセンサスだ。しかし、イスラエルはこの第3次中東戦争で占領したヨルダン川西岸や東エルサレムを「領土」とし、ここに住宅地建設を進めてきた。