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2017年1月3日

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崔 碩栄 (チェ・ソギョン)

ジャーナリスト

1972年韓国ソウル生まれ。韓国の大学で日本学を専攻し、1999年渡日。関東地方の国立大学で教育学修士号を取得。日本のミュージカル劇団、IT会社などで日韓の橋渡しをする業務に従事する。現在、フリーライターとして活動、日本に関する紹介記事を中心に雑誌などに寄稿。著書に『韓国人が書いた 韓国で行われている「反日教育」の実態』(彩図社刊)、『「反日モンスター」はこうして作られた-狂暴化する韓国人の心の中の怪物〈ケムル〉』(講談社刊)がある。

 2016年の韓国はまさに激動の一年だった。一つの結果として、2016年12月9日に大統領弾劾案が可決したことは日本でも大々的に報道された。しかし、弾劾について最終的な結論が下されたわけではない。弾劾を認めるか棄却するか、最終的は判断を下すのは憲法裁判所である。判決が下されるまで、韓国の政治的混乱はしばらく続くだろう。

 その結果が韓国の政治、経済、外交に影響を及ぼすことは間違いないが、最も直接的、かつ、大きな影響を受けるのが2017年12月に予定されている大統領選挙だ。どのような弾劾判決が、どんな結果をもたらすのか?

抗議運動を続けるソウル市民(gettyImages)

憲法裁判所の大統領弾劾案審判、朴大統領は弾劾されるのか?

 韓国では、国会の弾劾案可決が妥当か否かの最終判断は憲法裁判所に委ねられている。国会の議決結果を受けた憲法裁判所は審理を開始し、議決の日から180日以内に結論を出さなければならない。韓国史上初の大統領弾劾案が可決されたのは2004年、廬武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領に対するものだ。この時、国会の可決から憲法裁判所の最終的な棄却決定までに要したのは約2カ月であった。これを考えると朴槿恵大統領に対する弾劾の憲法裁判所の判断も、2017年春前後には下されると思われる。

 憲法裁判所を構成する裁判官は9人で、弾劾が決まるためにはその中で3分の2以上の賛成を得る必要がある。3分の2以上の賛成がない場合、弾劾案は却下され、朴大統領は職務に復帰することになる。

 一部には「憲法裁判所の中には保守性向の裁判官が多い」という理由で棄却を予想する声がある。性向だけみると確かにそうだが裁判官の性向に関係なく、弾劾案が棄却される可能性は少なくない。12月に開かれた国会聴聞会で今回の事件関係者たちが次々と証言を行ったが、証言や尋問が進めば進むほど首を傾げる人が多かった。マスコミがあれだけ騒いだ「疑惑」を裏付けるような証拠や実態を殆ど引き出すことができなかったからだ。特別検察による調査が進行中なので調査結果を待たねばならないが、ろうそくデモで高まった「絶対弾劾」の勢いは失速したようにもみえる。

 しかし、だからといって弾劾が否決されると断言することもできない。それは2004年盧大統領の弾劾審判の時とは違って、今回は裁判官一人一人が自分の決定についての意見を公開することになっているためだ。まさに「公開投票」ともいえるが、これは裁判官にとって大きなプレッシャーになるに違いない。

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